350年前からのアラブ村 パレンバン市 観光資源活用へ アジア大会向け
南スマトラ州パレンバン市に一歩足を踏み入れると、まず、嗅覚が異国に来たと知らせてくれる。魚のすり身とサゴヤシの粉末を団子にした名物「ペンペ」の匂いだ。街を南北に分けるムシ川では現在、二つの新たな橋を建設中。その一つ、第4ムシ橋近くには、約350年前に流れ着いたイエメン商人の村がある。同市は、8月のアジア大会を前に、市内にある観光地のプロモーションに注力していく。
村の名前はアル・ムナワル。ガイドのアリ・ザイナル・アビディンさん(33)によると、同地に初めて家を建てたとされるイエメン商人ハビブ・アブドゥラフマン・アル・ムナワルから名前を取った。
2016年末から観光省と連携したプロモーション、観光資源活用策が講じられている。村には、250年以上前からある木造、石造りの家が今も8軒あり、背の高い入り口や窓が特徴。
村のしきたりは今も残る。「男性は村の外の人と婚姻を結ぶことができるが、女性は村の中でしか婚約者を選べない」とアリさん。目だけを出して頭をすっぽり覆うニカブを着た女性も多く、中東の空気が漂う。
名物料理はナシ・クブリ(ビリヤニ)。他にコピ・チャップ・センドック・マス、アラブ風クッキーのクエ・カアクも有名。
第4ムシ橋からムシ川を上っていくと、第6ムシ橋の建設現場を過ぎた後に第2ムシ橋が現れる。その西側にある同市ガンドゥン郡には、巨大木製コーランで知られる観光地「バイト・アル・クルアン・アル・アクバル」がある。
12年にユドヨノ前大統領が直々に開所し、1枚高さ177センチ、幅140センチ、厚さ2.5センチのコーランが約150枚展示されている。大きさと枚数は、インドネシア記録博物館(MURI)にも記録認定されている。
これまでにオランダやフランス、香港、トルコなど11カ国・地域から観光客が訪れた。
パレンバン市や南スマトラ州は周辺のジャンビ州などとも連携し、観光プロモーションを進めている。8月のアジア大会では、全体で観光客70万人、大会観戦者15万人が訪れるとの予測がある。10競技12種別が行われるパレンバン市には、メディア関係者だけで1500人、選手・大会関係者3千人が滞在する。(中島昭浩、写真も)