前山さん夫婦の20年 まち子さんの漫画で振り返る
先月末、バリ島で亡くなった前山つよしさん(50)はパートナーのまち子さん(51)と1997年にインドネシアにやってきた。まち子さんは漫画家で2002年に日本の漫画を学ぶことができる学校「マチコ・マンガスクール」を開いた。17年12月までマンガ・スクールは続いた。2人の20年間にわたるインドネシア生活の一部をまち子さんが漫画にしている。インドネシアならではの苦労話があふれている。その漫画とまち子さんからのメッセージを紹介する。
タイトルは「移住楽園(バグースパラダイス)」と「パギぽこ(インドネシア極楽生活)」。電子書籍サイトのeBookJapan(イーブックジャパン)で購入できる。「移住楽園」ではインドネシアに夫婦で移住した時のバタバタや漫画学校を開き、従業員を雇うことの難しさ、苦労などが描かれる。
前山さんは新聞記者を辞めてインドネシア行きを決意し、仕方なくついて行くことになったまち子さんの驚きや怒りを前山さんがなだめる、というストーリー展開が多い。2人がどんなインドネシア生活をしていたかを知る「一級資料」と言えるだろう。
まち子さんによると、亡くなったのは30日の明け方。脳出血が原因とみられる。(田嶌徳弘)
■まち子さんのメッセージ
生前は、前山が大変お世話になりました。本日(4日)、私とスタッフ、ご近所の方10人ほどの本当に内々の者だけで、ヌサドゥアの火葬場から彼を見送ります。
たくさんの方が式に参列されたいと仰って下さったのですが、今回は丁重にお断りをさせていただきました。彼が大好きなバリ島から旅立つ時を、夫婦二人きりで語り合い、最高の言葉をかけてあげたいからです。
20年間のインドネシア暮らしが素敵だったのは、彼というパートナーがいたからです。本当に彼と過ごせたここでの時間は、私にとっても、彼にとっても、かけがえのない宝物です。
生前いつも二人で、「ここで死んだらさ〜じゃか新に、『あの前山さんが死去』とか1面に載るんだろうなあ〜」と笑いながら言い合ったことがあったのですが、それが現実になり、一番ウケているのは前山さんだと思います。(笑)
インドネシア語の記事の間違いにも、きっと腹を立てて、自分で直してる姿が目に浮かびます。(前山まち子)