前国会議長に禁錮15年 賄賂730万ドルを受領 汚職法廷

 電子住民登録証(e―KTP)調達事業汚職事件で、収賄罪に問われたスティヤ・ノファント前国会議長(前ゴルカル党首)の判決公判が24日、中央ジャカルタ区クマヨランの汚職特別法廷であった。ヤント裁判長は国家に2兆3千億ルピアの損害を与えた大型汚職事件と指摘し、禁錮15年、罰金5億ルピア、賄賂730万ドルの返却(求刑同16年、同10億ルピア)を命じた。また刑期を終えた後も公民権を5年間停止する。被告は控訴を検討する。

 判決文によると、被告は2010年以降、国会のゴルカル党会派代表にもかかわらず職権を乱用し、e―KTP事業の予算審議を担当する国会第2委員会に介入。実業家のマデ・オカ・マサグン容疑者、アンディ・アグスティヌス被告を紹介し、同事業の「手数料」として国会の取り分などを決めたほか、被告自身はマデ容疑者から380万ドルを受領した。
 e―KTPのカード製造事業では、事件発覚後に不審死した米国在住の受注業者ヨハネス・マルリム氏から、被告の甥(おい)を通じて350万ドルと13万5千ドル相当の高級腕時計を受け取った。賄賂授受の受け皿として、妻子に株を持たせた受注コンソーシアムの参加企業を利用した。
 公判で汚職撲滅委員会(KPK)は、米連邦捜査局(FBI)の協力を得て、事業の初期段階からスティヤ被告と共謀したヨハネス氏の事情聴取時の音声記録などを提出。裁判長は被告の関与を裏付ける有力な物証として採用した。
 判決について、同事件を捜査しているKPKのアグス・ラハルジョ委員長は、「国民の信任を得て公務に就く全ての政府高官への警告と受け止めてほしい」と歓迎。資金洗浄(マネーロンダリング)の余罪や他の関与者も追及する方針を示した。
 一方、弁護団は、裁判では当時の財務相や国家開発企画庁長官ら事業に関わった高官の証言も得ず、責任をスティヤ氏に押し付けたと主張。被告は事業への関与を全面的に否認しており、控訴も検討するとした。
 公判で被告は、当時国会議員だったプアン・マハラニ人間・文化開発調整相とプラモノ・アヌン内閣官房長官の2人もそれぞれ50万ドルずつ受領したと証言。捜査を受けている他の元国会議員もいるが、現時点で有罪判決を受けたのは内務省高官2人や仲介者のアンディ被告のみ。
 国会第2党の与党ゴルカルは、17年11月にスティヤ被告が自損事故後に逮捕されて以降、党首や国会議長を次々に交代。泥沼化した同事件で党勢衰退を引き起こしたスティヤ被告を切り離し、新体制をスタートさせている。(配島克彦、写真も)

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