年産25万台に引き上げ 総投資額330億円に 日産「ダットサン」復活 ゴーン社長が来イ

 日産自動車は二十日、二〇一四年をめどに、現地製造・販売法人の日産モーター・インドネシア(NMI)社の西ジャワ州のチカンペック工場の生産能力を二十五万台に引き上げると発表した。また、新興国戦略車のブランドとして「ダットサン」を復活させ、インドネシア向け車種を投入する。インドネシアを訪問したカルロス・ゴーン社長が同日、記者会見で発表。国民千人当たりの自動車保有率が、先進国の五百台前後と比較し、三十五台ほどとまだ低く、今後も市場拡大が見込まれるインドネシア市場を新興市場の最重点国の一つと位置付け、戦略を加速していく方針だ。

 日産は昨年七月、インドネシアでの生産能力を年十万台から十八万台に引き上げると発表していたが、インドネシア市場が予想以上に早いスピードで拡大していることを受け、生産能力の上乗せを決めた。二〇一〇年の五万台から、二〇一四年をめどに五倍となる二十五万台に引き上げる。日産の二〇一一年度の販売台数は約六万台。
 今回の追加投資は約八十億円で、十万台から二十五万台に引き上げる際の総投資額は約三百三十億円。日産の製造拠点としては、ASEAN(東南アジア諸国連合)域内で最大規模になる。基本的には国内市場向けとして位置付け、余力があれば輸出も行っていく。現時点で二十五万台のうち、二十万台ほどは国内向けとして想定しているという。
 今回発表した生産能力増強に伴い、チカンペック工場の従業員数を、十万台体制時の九百人から三千三百人まで増員。販売店も現行の六十八店から、二〇一五年までに百五十店まで増やす。ゴーン社長は「インドネシアはASEANの原動力」と表し、インドネシア市場をさらに重視していく方針を示した。
 インドネシアの自動車市場でシェア九割以上を占める日系自動車メーカー各社は、次々と計画を上方修正し、工場の拡張を決めている。トヨタが今年二月、生産能力を五万台増やし年二十三万台にすることを発表。ホンダは、現行の三倍となる十八万台とすることを先週発表したばかり。

■低価格車に新ブランド
 また、「日産」「インフィニティ」に次ぐ三つ目のブランドで、新興国戦略車での使用を想定する「ダットサン」については、二〇一四年からインドネシア、インド、ロシアの三カ国で展開し、各国に合わせた車種を投入する。インドネシアでは、政府が策定を進めている低価格・低燃費の「グリーンカー」向けの税制優遇策の規格に合わせた車種になる見通しだ。
 「ダットサン」は、日産を代表する小型車向けのブランドとして、一九八〇年代初めまで使用。以前は、ブルーバードやフェアレディZなど小型車種に使われていた。
 来イしていたゴーン社長は、十九日にユドヨノ大統領と会談し、投資や雇用の計画について報告。工場視察を行った。二十日は地元大学生向けに講演、ディーラー大会に出席し、同日夜帰国の途に就いた。

※追記(2012年10月11日)
 インドネシアの国民千人当たりの自動車保有率を「三十五人」から「三十五台」に訂正しました。

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