運賃下限設定を要求 二輪運転手デモ 配車アプリ過当競争で
ゴジェックなどのオンライン配車サービスの二輪タクシー運転手約1500人が27日、中央ジャカルタのイスタナ(大統領宮殿)前でデモを実施、過当競争で低下した運賃の値上げや法整備を求めた。ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は代表者と面会し、四輪タクシーと同様に、運賃の上下限設定などについて運輸省と通信情報省に事業者らと協議するよう指示した。
デモ隊の要求は、四輪車の配車タクシーと同様に公共交通機関として法整備を進める▽運転手を法的に保護する——の2点。法整備では競争激化で低下し、運転手の取り分が縮小した運賃の下限設定を訴えた。現在、走行距離1キロ当たり1600ルピアに設定されており、同2500ルピアに引き上げるよう求めた。
デモ隊の代表者5人は、ジョコウィ大統領とブディ・カルヤ・スマディ運輸相らと面会した。大統領は面会後、「彼らは運転手の窮状を訴えた。個人的には運賃の上下限設定をするべきだと思う」と述べ、配車サービス運営事業者と協議の場を設けるよう指示。ブディ運輸相によると、28日にも運転手らも含めて話し合う予定という。
運転手らは首都圏各地から集まった。デモでは「通りで客待ちしているだけなのに警察に注意され、乗用車にはクラクションを鳴らされる」「政府には待機場などを確保してほしい」との声が上がった。
東ジャカルタ区クラマット・ジャティから参加した、ウーバー運転手歴1年のイスムさん(29)は「運賃が低く設定され、月収は100万〜200万ルピア。小学生と乳児の子ども2人がおり、これでは教育費も食費も足りない」と話す。
兼業している運転手も多いが、イスムさんは運転手のみ。「将来のためにも運賃を上げてほしい」と語った。
運輸省はこれまで、四輪タクシーに関しては既存のタクシー会社との対立が深刻化し、法整備を急いできたが、二輪車は対象外だった。(中島昭浩、リンダ・シラエン)