地熱発電に融資締結 丸紅や東北電力参画 5億4000万ドル

 民間発電事業デベロッパーのシュプリーム・エナジー社や丸紅、東北電力などが推進する南スマトラ州ランタウ・デダップ地区の地熱発電事業で、国際協力銀行(JBIC)などとの間で融資契約が結ばれたことがわかった。融資額は5億4千万ドルで98.4メガワット(MW)を開発する。2010年ごろから進められてきた計画が、資金確保により大きく進展しそうだ。         

 地熱発電事業は同州ムアラエニム県やラハット県、パガルアラム市にまたがるランタウ・デダップ地熱資源区一帯を対象としている。
 エネルギー鉱物資源省関係者はじゃかるた新聞の取材に対し、「事業会社シュプリーム・エナジー・ランタウ・デダップ(SERD)が23日、JBICとアジア開発銀行(ADB)、三菱東京UFJ、三井住友、みずほの日本のメガバンク3行から、資金調達するプロジェクト融資契約を結んだ」と明らかにした。融資に関しては日本貿易保険(NEXI)による保険が適用される。
 合弁企業SERDへの出資比率の内訳はシュプリーム・エナジー16%、丸紅32%、欧州系大手エネルギー会社エンジー42%、東北電力10%。
 同地区の地熱発電は、10年にシュプリーム・エナジーとエンジーの前身GDFスエズが開発権を獲得し、11年に丸紅が参画した。12年に国営電力PLNと30年間の長期売電契約を締結したが、目標としていた16年の稼働からは遅れていた。
 18年3月に東北電力が海外初の地熱案件として参入。「ベストなプレーヤーがそろった」(同省幹部)状態で、資金調達のめども立ったことにより、本格的に発電所建設工事が進展していくことが期待される。
 地場プラントエンジニアリング・レカヤサ・インダストリと富士電機が設計・調達・建設(EPC)業務を請け負う。
 20年後半の完工、商業運転開始を目指す。同省は発電所建設により、再生可能エネルギーで約13万世帯に電気を供給できるようになると同時に、山間部地域に約1200人分の雇用をもたらすとしている。
 シュプリーム・エナジーは西スマトラ州ムアララボとランプン州ラジャバサでも住友商事やエンジーと共に、地熱発電事業に取り組んでいる。ムアララボについては発電所を建設中で19年10月ごろの発電開始を予定している。
 インドネシアの地熱埋蔵量は約2万8千MW分とされ(同省)、米国に次ぐ世界2位。政府が再生可能エネルギー開発に取り組む上で、地熱への期待度は高い。(平野慧)

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