アウェーの洗礼を インドネシア遠征を実施 サッカー全日本大学選抜

 「この水は飲んで大丈夫かな」「これは辛いから食べない方が良い」―サッカー全日本大学選抜の二十二人が十六日にインドネシア入りし、二十一日までの日程で「アジアでのアウェーの洗礼」に挑んでいる。今回の遠征(デンソー協賛)の目的は今月二十五日に東京の国立競技場で行われるデンソーカップ大学日韓定期戦前の強化。日本の恵まれた環境から一転、厳しい環境のインドネシアでサッカーをすることで、強烈なアウェー感にも立ち向かうことができるたくましさを養おうと、全日本大学サッカー連盟(JUFA)が将来の日本のサッカー界強化を見据えて企画したものだ。

 メンバーは二〇一三年夏季ユニバーシアード(ロシア・カザン)を見据え、一、二年生が中心。十六日にインドネシア入りし、十七、十八日に東ジャワ州の地元プロチームと二試合を戦った。
 遠征先にインドネシアを選んだ理由を、遠征団長の松本健一JUFA副会長は「日本の恵まれた環境でプレーする選手に、『アウェーの洗礼』を味わってほしい」と説明する。「『審判のジャッジが普段と違う』『飲み水がおかしい』『ピッチが悪い』。若いうちに経験すれば、将来のアジアでの試合の糧になる」。サッカー人気も総じて高く、経済成長を背景にサッカーの潜在性が高い東南アジア。長期的に見れば、日本のチームが試合する機会が増えていきそうだ。
 十九歳から二十一歳までの選手は、異なる環境に適応しようと試行錯誤した。体調を壊せばメンバー落ち。チームに迷惑もかかる。関係者に熱心にインドネシアについて質問する姿があった。
 同州ラモンガンのスラジャヤ競技場で行われた十七日のプルセラ・ラモンガン戦は難しい試合になった。直前に降った驟雨(しゅうう)でピッチがぬかるむ。この試合で主将を務めた今井智基選手は「へこんだりして、かなり難しいピッチだった」と話した。
 動きが重たい前半の選手たち。前日の移動ではジャカルタでの乗り換えで飛行機が大幅に遅延、選手らが就寝したのは試合当日の午前五時ごろ。再三の攻めが微妙なオフサイドで寸断されることも重なった。プルセラに所属しているが、この試合は欠場した大友慧選手は「ホームとアウェーではジャッジがかなり違う」と語った。
 それでも、選抜は後半途中からペースを握り皆川祐介選手がゴール。プルセラ敗勢の終盤には、約四千人の観客席の一部で発煙筒がたかれ、客が大挙して出ていくなど会場が騒然としたが、そのまま一―〇で勝った。
 十八日、デルトラス・シドアルジョ戦。会場となったデルタ競技場のピッチ上はじりじりと蒸し暑い。前半、二十一歳以下の相手のペースにつられ苦戦しつつも、二―一で折り返した。
 デルトラスは後半、ナイジェリア人ら外国人三選手を投入。一方、日本チームは運動量が増え、パスがつながった。主導権を握り四点を追加、六―二で勝った。
 吉村雅文監督は試合後「前半にゲームプランが崩れたとき、選手が自らの力で修正してほしかった。大学からプロに入る選手にはそういう面が求められている」と話した。
 大学選抜の一行は十九日、東ジャワ州マランで子ども約百人を対象としたサッカークリニックを行う。二十日はマランのカンジュルハン・スタジアムで地元プロチームの強豪アレマ・インドネシアと対戦。二十一日にはスラバヤ日本人学校でサッカークリニックを開く予定だ。

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