宗教超え春節祝う 最古寺院で「初詣」西ジャカルタ・金徳院 

 イムレック(中国正月、春節)の16日、西ジャカルタ区の華人街グロドックにあるジャカルタ最古の中国寺院「金徳院」は、赤色やピンク色の服を着た「初詣」の家族客らで終日にぎわった。線香の煙が立ち上る院内には外国人や異教徒の姿も目立ち、縁起の良いスズメが空に放たれるとわっと歓声が上がるなど祝賀ムードに包まれた。  

 北ジャカルタ区クラパガディンに住む華人で会社員のフェラさん(32)はカトリック教徒だが、毎年のイムレックには欠かさず、仏教徒の両親と同寺院を参拝している。「宗教が異なる私はお線香こそあげないけれど、ことしも家族の幸運を祈りました。中国正月は伝統だから」と笑顔を見せた。初詣後は家族で親戚を訪ねる予定で、新年15日目のチャップ・ゴ・メ(元宵節)まで正月行事が続くという。
 イムレックは多くの参拝客から喜捨が集まる日でもあり、寺院には喜捨を目当てに集まった人たちが朝から座り込んだ。午後2時すぎには子どもや老人など約200人が列になり、係員から配られる1人当たり2千ルピアの喜捨に手を伸ばした。
 イムレックを体験しようと訪れた外国人の姿もあった。ジャカルタ在住6カ月目のフランス人、ギオンさん(59)はドイツ人の妻と訪れ、「ムスリムが多数の国で仏教行事が祝われる様子を見て、すべての宗教への敬意を感じた。華人のコミュニティーはどの国にもあるが、ここはとても友好的で平和的だ」と中国正月の雰囲気を楽しんでいた。
 華人のアホック元知事を負かして当選したムスリムのアニス・バスウェダン知事は「(子どもたちにも)異文化と歴史的価値を理解してほしい」と同日昼、息子らを連れて同寺院を訪れ、就任後初となるイムレックで多宗教・多民族を尊重する姿勢をあらためてアピールした。
 華人文化はスハルト政権下で制限され、民主化後の2000年に故アブドゥルラフマン・ワヒド(通称グスドゥル)元大統領が自由化、メガワティ政権下の02年にはイムレックが国民の祝日となった。(木村綾、写真も)

社会 の最新記事

関連記事

本日の紙面

JJC

人気連載

クナパくんとブギニ先生NEW

私のじゃかるた時代NEW

編集長の1枚NEW

キャッチアイ おすすめニュースNEW

インドネシア企業名鑑NEW

事例で学ぶ 経営の危機管理

注目ニュース

マサシッ⁉

天皇皇后両陛下インドネシアご訪問

トップ インタビュー

モナスにそよぐ風

HALO-HALOフィリピン

別刷り特集

忘れ得ぬ人々

有料版PDF

修郎先生の事件簿

メラプティ

子育て相談

これで納得税務相談

おすすめ観光情報

為替経済Weekly