道路名変更を棚上げ アニス知事 住民、歴史家の反対受け

 南ジャカルタ区にある幹線道の名称変更計画で、ジャカルタ特別州のアニス・バスウェダン知事は1日、変更を一時棚上げする考えを示した。地域住民や歴史家から「現在の名前には、国民の多様性を象徴する歴史的背景がある」と反対の声が上がったため。1日夕には、幹線道沿いに掲げられていた名称変更を告知する横断幕も撤去された。地元メディアが報じた。

 改称対象は、南ジャカルタ区クニンガンから南へ伸びる幹線道(全長十数キロ)で、区間によって「ラスナサイド通り」、「マンパン・プラパタン通り」、「ワルン・ジャティ・バラット通り」という三つの名前で呼ばれている。
 南ジャカルタ区長が特別州政府に提出した案では、これらの名称を、スハルト政権下の国軍最長老だった故アブドゥル・ハリス・ナスティオン元国民協議会議長の名前に統一する計画だった。
 三つの通りのうち、改称への異論が出たのは、住民らから「ワルン・ブンチット」とも呼ばれるワルン・ジャティ・バラット通り。
 ワルン・ブンチットの由来は、ブン・チットという華人の男性。ジャカルタ土着のブタウィ人が住んでいた農耕地でワルン(屋台)のビジネスを始め、ブタウィ人の女性と結婚した。その後、大きくなった屋台を中心に同地は人でにぎわうようになり、周辺エリアや付近を通る道路がワルン・ブンチットと呼ばれるようになったらしい。
 改称に反対する住民に加えて、一部の歴史家からも「『ワルン・ブンチット』はブタウィ文化と華人のつながり、多様性を象徴する名称だ」と保存を求める声が上がった。
 これを受け、アニス知事は「名称変更には市民の意見が必要で、政府だけの判断ではできない」と改称計画を一時棚上げする考えを示した上で、「変更の権限を有するのは州政府だが、道路や公園、建造物などの名前変更などに関する州条例を改正し、歴史家や文化の専門家を巻き込んで審議できる形を取りたい」と語った。(上村夏美)

社会 の最新記事

関連記事

本日の紙面

JJC

人気連載

クナパくんとブギニ先生NEW

私のじゃかるた時代NEW

編集長の1枚NEW

キャッチアイ おすすめニュースNEW

インドネシア企業名鑑NEW

事例で学ぶ 経営の危機管理

注目ニュース

マサシッ⁉

天皇皇后両陛下インドネシアご訪問

トップ インタビュー

モナスにそよぐ風

HALO-HALOフィリピン

別刷り特集

忘れ得ぬ人々

有料版PDF

修郎先生の事件簿

メラプティ

子育て相談

これで納得税務相談

おすすめ観光情報

為替経済Weekly