ジョコウィ氏、指導力発揮

 ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領が任期半分を終え、就任当初から注力してきたインフラ整備の成果が見え始めた1年だった。同時に、国政未経験の地方首長から指導力のある国家元首へと変貌を遂げ、不協和音もあった所属政党の闘争民主党(PDIP)や連立与党ゴルカル党を掌握、さらには国軍司令官人事も優位に進めるなど政治手腕を発揮するまでになった。
 ジャカルタ特別州知事選では、国論を二分したコーラン侮辱発言問題で、野党・イスラム勢力に糾弾されたアホック知事を切り捨てる大胆な決断を下し、政権の盤石化を図った。しかし一方で、大統領自ら内閣改造で解任させたアニス・バスウェダン前教育文化相が、野党グリンドラ党やイスラム勢力の支持を得て新知事に就任したことで、世俗勢力を支持基盤に持つジョコウィ政権との足並みがそろわない事例が目立ち始めている。
 一方、ジョコウィ支持を打ち出すことで延命を図ってきたスティヤ・ノファント・ゴルカル党首(国会議長)が汚職事件で訴追され、現職閣僚のアイルランガ・ハルタルト工業相が後任党首に就任したことは、政権の安定材料となった。だが選挙戦で、与野党の区別なく鞍替えを繰り返してきたゴルカル党の動向は不透明だ。
 2019年には史上初となる大統領選と総選挙の同時実施が控え、18年6月の統一地方首長選が前哨戦となる。首都で展開された与野党の攻防は各地でさらに激化しそうだ。(配島克彦)

■外国投資上向きに期待

 実質個人消費の伸びは前年比5%程度と鈍く、インフレ率が安定。為替も年後半こそややルピア安に振れたが、大きな変動を感じる要素が少ない1年だった。
 明るい要素は本調子ではないが自動車販売が緩やかに回復傾向にあること。さらには大手格付け機関のS&Pがインドネシアの長期債務格付けを引き上げ、三大格付け機関すべてで「投資適格」の評価を得たことだ。直接投資、証券投資のいずれでも国外からの資金を集めやすい状況になった。各国・地域の主要な株式指数で相次いで過去最高値を更新している中で、インドネシアも総合株価指数(IDX)が6300を超え高値圏で推移した。
 懸念材料は8、9月に連続で政策金利を引き下げたが、銀行の貸し出しが伸びていないこと。企業などの資金需要の伸びが今ひとつという点も背景にある。ことしは輸出高が2桁成長で伸びたが、資源価格が来年も上昇していくかについては慎重な見方が必要だ。
 政府は来年、外資企業の出資比率や条件を定めたネガティブリストを一部改正する方針で、直接投資の促進を図る。ベトナムなど周辺国が高い成長を示している中、安定して外資を呼び込み、インフラ構築や工業化を進められるかが焦点となる。(平野慧)

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