アサヒが株式売却 競争激しい1年 飲料市場

 飲料市場のことし1年は内外資による競争が繰り広げられ、動きが激しい1年だった。
 アサヒグループホールディングスは22日、インドネシアの飲料事業を売却すると発表した。国内大手サリム・グループの食品部門子会社で、合弁事業パートナーのインドフード・CBP・スクセス・マクムール社に対して、生産会社と、販売会社2社の株式を計約23億円で売却する。
 アサヒは2012年に事業を開始。約7千億ルピアを投じ、15年に西ジャワ州スカブミに立ちあげた工場で、「イチ・オチャ・グリーンティー」などのオリジナルブランドの清涼飲料の本格生産を始めた。
 しかし、中国でも青島ビールの株式を売却することを決定するなど、近年保有資産の見直しを進めている。日系投資コンサルタントは「ことし3月に世界最大手のベルギー系アンハイザー・ブッシュ・インベブからの東欧5カ国のビール事業買収を完了させている。収益性の高い欧州の高級ビール市場での競争力を高めるために、選択と集中を図っている」と分析する。

■市場規模は7600億円
 一方で、TPCマーケティングリサーチ(本社・大阪市西区)がことし3月に行った調査では、インドネシアの17年度の飲料市場規模は約7600億円。東南アジア諸国連合(ASEAN)の約3割を占め、地場・日系企業に需要を取り込む動きがある。
 ポッカサッポロフード&ビバレッジグループの合弁によって、茶系飲料を製造する工場がことし4月、稼働した。伊藤園合弁もタイで委託製造する新商品「無糖ジャスミン緑茶」を市場に投入している。タイの飲料大手イチタングループは三菱商事、小売り大手アルファグループと提携しており、無糖茶を発売した。コカコーラ・アマティル・インドネシア(CCAI)は北スマトラ州メダンの工場を増設し、スマトラ島全域での販売を目指す。

■低迷する個人消費
 各社とも人口を魅力と捉えビジネス拡大を目指すが、個人消費は低迷しており、また小売り独特の課題もある。スーパーマーケットやコンビニなどの小売店鋪には棚料を徴収する所も多い。販売店舗が多くなると配送コスト、人件費と並び大きな負担としてのしかかってくる。都市圏に販路を限定して推移を見守る企業も多い。
 では、小売市場全体の7割以上を占める伝統市場(パサール)での販売はどうだろうか。価格面が中間層に対応している商品であっても、知名度や販売ネットワークがないと取り扱い量増加は難しい。
 食料品分野では味の素やロッテが年月をかけて、伝統市場での販路を築いている。伝統市場に参入する場合は、厳しい競争環境の中でブランド構築をしつつ、地道に商圏を拡げていく我慢が必要となる。(平野慧)

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