駅前通り通行禁止 タナアバン カキリマ・歩行者専用に
ジャカルタ特別州政府は22日、中央ジャカルタ区タナアバン駅前のジャティバル・ラヤ通りの約400メートルを閉鎖、車の通行を禁止した。2車線をカキリマ(露天商)・歩行者専用道路と、駅とタナアバン市場を周遊する無料バス専用の道路とする。取り締まりの対象となってきた路上でのカキリマの商いを許可し、歩行者の安全も守る。さらに無料バスの運行で、駅利用者や買い物客の移動手段にも配慮した。
閉鎖される時間は午前8時〜午後6時。同時間帯は、ジャティバル・ラヤ通りでは車やオートバイのほか、アンコット(乗り合いバス)や公共バスのメトロミニ、バジャイ(三輪タクシー)なども進入禁止となる。
同駅周辺では、路上での販売が渋滞の原因になるとともに、交通量が多い道路で歩行者の妨げになり危ないと問題視されてきた。州政府は取り締まりを度々実施してきたが、いたちごっこが続いていた。
同州政府は登録制で、カキリマが無料で利用できるテント400張を用意した。22日に設置されていたテントは300張で、約半分が埋まっていた。
洋服売りのリアス・ワラさん(41)は4年前、客足が減ってきた同市場ブロックAから移動し、人通りの多い駅前でカキリマを始めた。「店を開いてはいけないと知りながらやってきたが、負い目がなくなり取り締まりにもおびえなくてすむ。以前より安全で快適な場所になった」と笑顔を見せた。
ブロックGから移動し、同地でかばんを販売してきたアルファ・ロンデン・インデアさん(45)も「売り上げが伸びるかどうかはまだ分からないが、これが正しい解決策だと思う」と話した。
駅側の車線では、首都圏専用バス「トランスジャカルタ(TJ)」が無料で運行するバスが走る専用道路となる。6カ所の停留所があり、駅からタナアバン市場の周りを反時計回りに周遊する。
10台を運行、1台あたり約60人が利用でき、荷物を抱えた買い物客や駅利用者らでほぼ満席。同地は普段から渋滞しているが、駅前にアンコットらが入れなくなったため、周辺の道路で渋滞がひどくなると嘆く乗客の声も多かった。同日午後1時ごろは1周するのに約30分かかった。
一方、バイクタクシーやオンライン配車サービスのオートバイについては待機場所として、同駅から約200メートル離れたジャティ・バル・ブンクル通りにある国鉄(KAI)が所有する空き地を整備する。(毛利春香、写真も)