帆船ピニシを登録 海洋民族の誇り ユネスコ無形文化遺産

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)は7日、スラウェシ島南部のブギス人の伝統木造帆船「ピニシ船」とその造船工法を「人類の無形文化遺産」に登録した。インドネシアから同遺産に登録されたのは8件目。海洋民族が受け継いできた木造帆船の技術が世界で認められた。 

 ピニシ船は、南スラウェシ州の海洋民族ブギス人の木造帆船。北ジャカルタ区スンダ・クラパ湾、南スラウェシ州マカッサル沖、フローレス島のラブアンバジョ湾などで輸送船として使われているほか、外洋航海にも利用されている。
 観光船としても活用されており、海外の展示会やイベントなどでも、外国人観光客誘致の足がかりの一つとしてピニシ船が紹介されてきた。
 ユネスコはピニシ船について「南スラウェシ州の造船の芸術」とし、世界とインドネシアの両方にとって、群島の先住民による造船技術のかがみになっていると説明。
 同船の主な製造場所は、南スラウェシ州ブルクンバ県ポント・バハリ郡タナ・ブル村とビラ村、南カリマンタン州タナ・ブンブ県バトゥ・リチン郡で、同3地域では住民の約7割が造船、航海、販売などピニシ船に携わる仕事に従事し、生計を立てている。
 一方、知識や技術が世代を超えて継承されてきたピニシ船は、経済的な重要性だけでなく、日常生活やアイデンティティーの中心的な存在で、船大工やその家族らを中心に地域コミュニティのつながりも強めていると評価された。
 教育文化省のヒルマル・ファリッド文化総局長は登録を受け、「とても誇りに思う。インドネシアで祖先から世代を超えて現代まで受け継がれてきた伝統的な造船技術が世界で認められた」と喜びをあらわにし、若い世代にとっても価値ある伝統文化が守られていることを誇りに思うきっかけになると語った。
 またピニシ船の伝統技術の保護に向け、船の材料となる木材の確保や次世代への継承などを支援したいとしている。
 インドネシア政府は引き続き、2018年にパントゥン(詩)、19年に伝統武術プンチャック・シラットの無形文化遺産登録を目指す。
 第12回目となる今回のユネスコの世界遺産委員会は韓国の済州島で7日に開かれ、無形文化遺産にはイタリアの伝統的なピザ作りなど計12項目が新たに登録された。(毛利春香)

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