サイクロン被害拡大 ジャワ、バリ島 洪水で11人死亡

 熱帯低気圧(サイクロン)がジャワ島南岸で発生し、東ジャワ州やジョクジャカルタ特別州の広域で28日、大規模な洪水と地滑りが発生、少なくとも11人が死亡した。気象庁(BMKG)はジャワ、バリ両島の全域で大雨や高波の恐れがあるとして警戒を呼びかけている。

 気象庁は27日午後7時、中部ジャワ州チラチャップ沖165キロのインド洋上でサイクロンが発生したのを確認した。30日ごろまで、ジャワ島とバリ島の全域で、大雨や強風、2.5〜6メートルの高波に注意するよう呼びかけている。
 サイクロンは28日朝、パチタン県の南32キロの海上に移動し、時速65キロで東南東に進んでいる。この影響で、ジョクジャカルタ、東ジャワ、中部ジャワ各州の21県市で洪水や地滑り、竜巻が発生した。
 東ジャワ州パチタン県で被害が深刻で、地滑りや洪水で計11人が死亡。約4千人が影響を受けた。同県とポノロゴ県をつなぐ幹線道路が地滑りで寸断された。
 ジョクジャカルタ特別州各地では洪水や地滑りが相次ぎ、56カ所で竜巻が発生。当局が被害状況の確認を急いでいる。
 悪天候の影響で28日、ジョクジャカルタのアディスチプト空港と中部ジャワ州ソロ市のアディスマルモ空港は一時閉鎖されたが、両空港とも夕方までに再開した。国際・国内線10便以上が影響を受けた。
 サイクロンの影響でバリ島アグン山の噴煙は東ジャワ方面に流れており、さらなる影響も予想されることから、国家防災庁(BNPB)は注意を呼びかけている。(木村綾、毛利春香)

◇ 熱帯低気圧(サイクロン) 熱帯・亜熱帯の海上で発生する低気圧。台風と同じ性質を持ち、強い雨と風を伴い、自然災害をもたらす。気象庁によると通常、発生から3〜18日で消滅する。インドネシアで観測されるのは3年ぶり。

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