空港閉鎖6万人に影響 火山泥流に注意 アグン山最高警戒

 バリ島カランアセム県のアグン山で噴火が続いていることを受け、火山地質災害対策局(PVMBG)は27日午前6時(現地時間)、噴火警戒レベルを最高の「アワス(避難準備)」に引き上げた。バリ島ングラライ空港と同島東隣のロンボク空港は28日朝まで閉鎖される。27日の閉鎖で6万人近くの乗客に影響が出た。雨期入りしたバリ島では、火山泥流発生の危険があるとして警戒を呼びかけている。

 アグン山は25日夜以降、これまでの水蒸気爆発からマグマ型の噴火に変わり、噴煙は火口から3400メートルの高さまで上がった。同山周辺を中心に降灰が確認されている。
 国家防災庁(BNPB)のストポ報道官は27日の会見で、バリ島は雨期にあたり、火山泥流の危険が高まっていると警告した。人的被害は報告されていない。
 火山泥流は、火山灰や土砂が雨水と混ざって流れる現象。雨量が増えると危険が高まるため、川に近づかないよう呼びかけている。
 警戒レベル引き上げに伴い、立ち入り禁止・避難区域は火口から半径8キロ圏内と、北〜北東、東南〜南〜南西側各10キロ圏内に拡大した。避難区域の住民は9万〜10万人に上るが、27日時点でまだ全員が避難できておらず、避難を呼びかけている。
 合わせて牛やヤギなど家畜の避難も進める。27日までに約8500頭が避難し、さらに約5500頭の避難が必要という。
 避難区域外のバリ島の観光地についてストポ氏は「安全だ」と説明した。

■邦人の無事を確認
 噴火の影響で、ングラライ空港は27日午前7時15分から28日午前7時まで閉鎖する。国際・国内線計445便が運休し、計5万9千人に影響が出た。今後は6時間ごとに、噴煙や降灰の状況を見て空港の再開、閉鎖を判断する。
 一方、26日夕から閉鎖していたロンボク空港は27日午前6時に再開したが、同日午後7時50分に再び閉鎖した。28日午前6時まで閉鎖し、47便が影響を受ける。
 空港閉鎖が長引けば、観光への影響も懸念される。大手旅行代理店のHISとJTBは、27日出発のバリ行きのツアーを中止。JTBは「現時点でキャンセルが相次いでいるという状況ではない」としている。
 在デンパサール日本総領事館によると、アグン山のあるカランアセム県内に住む邦人が複数人いるが、いずれも無事を確認した。クルンクン県とギアニャール県北部で降灰したとの情報提供があったが、被害の報告はこれまでにない。
 日本外務省は27日、立ち入り禁止区域に近寄らず、降灰などに注意するよう呼びかけた。
 アグン山は1963〜64年に大規模噴火し、1148人が死亡した。
 火山活動が活発化したことを受け、9月中旬に噴火警戒レベルを最高に引き上げたが、10月29日に一段階引き下げていた。今月21日、約54年ぶりに噴火した。(木村綾、上村夏美)

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