ハラル観光開発に意欲 アニス州政が始動 「住民移転」は継続

 ジャカルタ特別州の2018年予算案の編成が大詰めを迎えるなか、先月就任したアニス・バスウェダン知事の優先政策が明らかになってきた。就任早々、北ジャカルタの歓楽施設「アレクシス」を閉鎖して実行力をアピールしたアニス州政は、ハラル観光開発などイスラム色の強い政策を提案。「頭金なし住宅ローン」などの目玉公約は早期実現を目指す一方、アホック州政の柱となった洪水対策などは形を変えて継続する方針だ。 

 サンディアガ・ウノ副知事は5日、地元記者団に対し、イスラムの戒律に沿ったシャリアホテルを建設していきたい考えを明らかにした。「クアラルンプールは非常に進んでおり、東京やソウルも取り組み始めている」とムスリム向けのハラル観光開発の必要性を説いた。
 さらに先月27日付で閉鎖したアレクシスの元従業員のうち、ジャカルタ特別州民をシャリアホテルの従業員として雇うと言及。シャリア経済連合(MES)が元従業員らの研修に協力する用意があるとしている。

■州営住宅「低層」に

 選挙で争点となった住民の立ち退き問題では、公約と異なる姿勢も見え始めた。「住民移転反対」を掲げてきたアニス氏だが、アホック州政の柱だった低所得者向けの州営集合住宅「ルマ・ススン」は継続させるもようだ。
 アホック元知事は洪水対策として川沿いの住宅撤去を進め、住民らを高層集合住宅のルマ・ススンに移転させてきた。アニス氏はこれを批判し、選挙前は「立ち退きなしにジャカルタを築いていく」などと持論を展開していた。
 だがアニス氏は5日、ルマ・ススンのコンセプトはそのままに、1〜3階と低層にした州営住宅「ルマ・ラピス」を設け、住民を移転させるとの提案を披露。「(移転先は)元の住まいからあまり遠くない場所にするべき」と住民への配慮も付け加えた。

■頭金不要の用地確保

 一方、住宅分野で目玉公約として掲げた「頭金なし住宅ローン」は早期実現にこだわる。財源や合法性の観点から「空手形」との指摘もあったが、サンディアガ氏は6日、「頭金なし住宅は(計画を)煮詰めている段階で、用地はすでにある」と強調した。
 1日には中銀幹部のドニ・ジュウォノ氏がサンディアガ氏と面会し、実現可能性を協議。ドニ氏は「中央政府と州政府の保証があれば」実行可能との見方を示した。住宅の予定販売価格は約3億5千万ルピアで、頭金にあたる350万ルピアを州予算から出し、国の低所得者向け住宅ローン支援制度(FLPP)を活用する案などがあるという。
 政策の実現には州議会の協力が欠かせない。議会との関係強化を図りたいアニス、サンディアガ両氏は6日、選挙でアホック陣営の選対部長を務めたプラスティヨ・エディ・マルスディ州議会議長(闘争民主党=PDIP)の公邸を訪ねて面会した。
 プラスティヨ氏は「選挙戦は終わった。私にはアニス氏とサンディ氏を見張る義務がある。76兆ルピアの予算は少なくない」と述べ、議会としての務めを果たしていくと強調した。(木村綾)

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