トミー氏、マミック氏、プラボウォ氏 租税回避3人に言及 パラダイス文書

 6日に公表されたタックスヘイブン(租税回避地)に関する機密文書「パラダイス文書」で、スハルト元大統領の三男トミー氏、三女マミック氏、プラボウォ・スビアント氏(次女ティティック氏の前夫、野党グリンドラ党党首)の3人の名前が言及されていることが分かった。

 パラダイス文書は、昨年「パナマ文書」を入手し、報道した南ドイツ新聞が新たな文書として公表し、これを受け、世界67カ国の記者たちが加わる国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が一斉に報道した。インドネシアではICIJに参加するBBCインドネシアやテンポなどが伝えた。
 パラダイス文書の主な流出元は、北大西洋の英領バミューダ諸島のハミルトンに拠点を構える法律事務所「アップルビー」や、シンガポールの法人設立サービス会社「アジアシティ」など。
 これによると、財閥フンプス創立者のトミー氏は、「アジア・マーケット・インベストメント」と「Vパワー」の2社の役員を務め、イタリアのランボルギーニ社の株式を保有していた。バミューダにあるフンプスの支店と豪州広告代理店NLDが共同出資し、屋外看板を扱う合弁会社を設立。豪州やフィリピン、マレーシア、ミャンマー、中国などで事業を展開したが、2003年に閉鎖された。文書では「税逃れ」のための企業と指摘されている。
 一方、マミック氏はスハルト政権下の1990年、バミューダで、スハルト氏の政商でコデル・グループ創立者の一人、マヘル・アルガドリ氏と共に「ゴールデン・スパイク・パシリアマン」「ゴールデン・スパイク・サウススマトラ」を設立、両社はすでに閉鎖されていると指摘された。
 プラボウォ氏は01年、バミューダで、ヌサンタラ・エナジー・リソーシズを設立、04年に閉鎖した。これも「脱税目的」とされたが、プラボウォ氏の腹心のファドリ・ゾン国会副議長はテンポの取材に対し、「1ドルで設立された会社」「設立当初から活動していない」と説明。また「石油ガス開発のために作られた会社で、複数の政治家がかかわっている」と明かしたが、政治家の関与について詳細は不明とした。
 パラダイス文書には、少なくとも2万5千の法人や組合に関する情報があり、契約書や銀行口座、電子メールなどが含まれる。ICIJは日本を含む各国の政治家・君主らの名前は47カ国127人に及ぶとしている。

■海外資産、困難な追及

 インドネシア政府は海外に滞留する資産の環流に注力し、国会は昨年6月、租税特赦法案を可決。7月からことし3月まで9カ月間に限定し、未申告の資産に低税率を適用する優遇措置を取った。
 申告額は目標の4千兆ルピアを超える4866兆ルピアに達したが、海外資産の国内への環流額は目標1千兆ルピアをはるかに下回る147兆ルピアにとどまった。
 政府は国内で徴税強化を図る一方、税逃れの海外資産の追及は難航している。10月には、スタンダードチャータード銀行の行員が2015年、租税回避地の英領ガーンジー島からシンガポールへプライベートバンク顧客の資産14億ドルを移したとの疑惑が浮上。英紙フィナンシャル・タイムズは、この顧客がインドネシアの国軍関係者のため、さらなる調査が必要と指摘する同銀行の内部調査結果を伝えたが、その後詳細は明らかにされていない。(配島克彦)

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