MRT駅の用地決着 最高裁 州政府側が逆転勝訴
ジャカルタ特別州の大量高速鉄道(MRT)第1工期の地上工区用地の損害賠償請求訴訟で、最高裁判所は24日、商店主勝訴の一審判決を棄却し、州政府側の逆転勝訴判決を下したと発表した。アニス・バスウェダン知事は判決を歓迎し、南ジャカルタのハジ・ナウィ駅周辺の土地を早急に収用し、2019年3月開通を厳守するとの方針を示した。
訴訟が続いていたのは、ファトマワティ通りのハジ・ナウィ駅前の商店3店が保有する土地4件で、計266平方メートル。この用地が確保できず、駅を支える橋桁の一部が建てられない状態が続いていた。
地権者は昨年2月、1平方メートル当たり7500万〜1億5千万ルピアの賠償金を要求する訴訟を請求し、これに対し州政府は同3300万ルピアを提示した。南ジャカルタ地裁はことし6月、同6千万ルピアとする判決を下し、地権者側はこれを受け入れたが、州政府は不服として上告した。最高裁は最終的に州政府の提示額の同3千万〜3300万ルピアを認定した。
MRT建設は清水建設、大林組、三井住友建設、東急建設がインドネシア企業と共に共同事業体として建設を担っているが、土地収用は州政府や南ジャカルタ区、国土庁(BPN)らインドネシア側が担当している。
アニス知事は24日、「判決を即執行したい」と勝訴判決を歓迎した。同知事とサンディアガ・ウノ副知事は20日、MRT地上工区を視察したばかり。1日17万3千人が利用する見込みのMRTの建設工事を順調に進め、予定通り19年3月に開通させるとの方針を示した。
アニス知事は視察の際、訴訟を起こした地権者6人のうちの1人で、カーテン店「スルバ・インダ」の経営者と面会。土地を手放すことを確約させた上で、判決が下る前に通りに面した店先の柵を撤去させるとの同意を取り付け、実行力をアピールしていた。
州営MRTジャカルタ(MRTJ)はこれまで、周囲に商店が密集するハジ・ナウィ駅の完成が遅れた場合、同駅に停車せずに運行を開始するとの意向を表明していた。同駅の駅舎の工事はすでに開始されており、橋桁も土地問題が残る部分以外は設置済み。高架部分でホームの建設が進んでいる。年内にMRTの工事進捗率は93%になる見通し。(配島克彦、写真も)