「イ日でともに成長を」 「相互が補完的な役割」 カディン日本経済委委員長 ソニー・ハルソノ氏

 インドネシア経済が世界的に注目を浴び、日本からの投資が相次ぐ中、インドネシア商工会議所(カディン)インドネシア日本経済委員会(IJEC)委員長就任から約一年が経ったソニー・ハルソノ氏に、今後の経済展望やIJEC委員長としての抱負を聞いた。ハルソノ委員長は「国民一人当たりのGDP(国内総生産)が三千ドルを大きく超え、国全体のGDP規模が一兆ドルに近付くなど、インドネシアは新興勢力として、世界経済のけん引役の一つになりつつある」との認識を示した上で、「日本がインドネシアを『支援する』という時代ではなくなっている。相互が補完的な役割を担い、ともに成長していくという姿勢が不可欠だ」と強調した。 

 自身がCEO(最高経営責任者)を務める税務・ビジネス・コンサルタントのハルソノ・ヘルマント・ストラテジック・コンサルティングでは顧客の七〇%以上が日系企業。インドネシア人より日本人の友人の方が多いのではないかと笑うハルソノ委員長は、インドネシアと日本の経済関係について、「日本の企業が発展していくためには海外に出なければいけない。一方、インドネシアはその反対で、非常に大きな潜在力を生かし、国内経済を発展させていかなければならない。日本は資本や人材、技術、インドネシアは拡大する経済規模を有し、お互いが補完的な関係で利害が衝突することがない」と指摘する。
 日本企業のインドネシアを見る目は近年、劇的に変化しているとの見解を示す。「(ゼネコンやエンジニアリング会社などの)業者はこれまでプロジェクトベースで事業を行っていたが、最近は『自分たちで投資をしなければもったいない』という意識になっている」

■ JJCと連携強化
 次期大統領選がある二〇一四年に向け、政情の不安定化に懸念を示す日本の投資家もいると水を向けると、ハルソノ委員長は「むしろ『日本にとどまっていて事業を拡大させていくチャンスがあるのか』と聞き返したい。資本をどこに投資すると効率的に回収できるかというビジネスの基本原則の話。直接投資は、ポートフォリオ投資(資産運用を目的とした投資)のように簡単に資本を移動させることはできないという点はあるが、日本よりインドネシアで投資した方が利益が上がると考えるのが自然だ」と力を込める。
 ASEAN(東南アジア諸国連合)各国を見ても、産みの苦しみを経て民主主義体制を軌道に乗せたインドネシアは他国と比べ利点があると分析する。
 「マレーシアの政治体制はどうなるか分からない。特定の民族を優遇するような政策はインドネシアにはない。タイも今の国王が亡くなったらどうなるか。ベトナムは依然として共産党が支配する国家だ。インドネシアでは、地方分権も投資家にとっての不安の種となっているが、地方同士の競争を刺激するという意味で長期的には有利に働くはずだ」とハルソノ委員長。
 IJECとしては、ジャカルタ・ジャパンクラブ(JJC)との連携を進めていきたいと意気込みを示す。「日本の強みの一つは、金融、商社、メーカーなどが『日本株式会社』として一丸となって進出してくること。JBIC(国際協力銀行)やNEXI(日本貿易保険)などを通じ、より低コストで資金確保ができる。インドネシアと日本は、それぞれの役割は異なるが、一つの同じ土俵に立って、一緒に成長していくという精神を共有し、持続的な関係を構築していきたい」

◇ソニー・ハルソノ
 1951年7月、東ジャワ州クディリ生まれ。60歳。インドネシア大学経済学部を卒業後、4大会計事務所のKPMGのメルボルン事務所勤務などを経て独立。2007年8月にハルソノ・ヘルマント・ストラテジック・コンサルティングを設立し、CEOを務める。趣味はゴルフ、水泳。

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