2案を正式提示 石油燃料補助金削減 政府

 石油燃料補助金削減を検討している政府は二十八日、国会第七委員会(エネルギー・鉱物資源、科学技術、環境)の作業部会で、プレミウム(レギュラーガソリン)と軽油について、補助金削減案を正式に提示した。削減案は「一リットル当たりの販売価格を千五百ルピア引き上げる」「一リットル当たりの補助金支給額の上限を二千ルピアとし、販売価格を世界の市場価格に合わせ変動させる」の二案。現時点の価格水準で実現されれば、いずれも現行価格から値上げとなる。ユドヨノ政権にとって、歴史的な低インフレの現在、長年の国家予算圧迫要因となってきた補助金の削減に切り込む絶好のタイミングだが、二〇一四年の次期総選挙が近付くにつれ、政党間や政党内の政治的な駆け引きも表面化してきており、今後の動向が注目される。

 政府提案は、自家用車、オートバイ、公共交通機関などすべてが対象となる。特に低所得者の生活保護や国民の購買力維持を目的とした補てん策として、貧困層への現金給付、公共交通機関への特別補助金、貧困層へのコメ配給プログラムの強化、低所得世帯に対する教育補助金供与などを提案した。
 作業部会に出席し、補助金削減案を提示したジェロ・ワチック・エネルギー鉱物資源相は、変動価格制の導入の方が、国家財政健全化の観点からも好ましいとの見解を表明。「中東の政治問題で、原油価格のさらなる上昇が見込まれる。このままでは、二〇一二年予算の燃料補助金の割り当て分を超えてしまう」と補助金削減が急務であるとの方針を改めて示した。
 エネルギー鉱物資源省のエフィタ・ヘラワティ・レゴウォ石油・天然ガス総局長は、インドネシア大学の調査結果を引用し、補助金の上限を二千ルピアとした場合、インフレを二・四三%、貧困率を一・一五%引き上げ、国民の購買力は二・三七%低下するが、補助金は二十五兆七千七百億ルピア削減することができると説明した。
 燃料補助金の削減は、補正国家予算案の審議の一部となるため、国会の承認が必要だが、国会では異論が噴出。野党・闘争民主党のチャフヨ・クモロ幹事長は「燃料値上げにより、庶民の生活が一層苦しくなるのは明白だ」と批判した。
 野党ハヌラ党のアクバル・ファイサル議員は「補てんのプログラムは、燃料価格上昇の埋め合わせでなく、選挙のためのただの人気取りではないか」と主張、二〇一四年の議員選挙まで議論を延期すべきだとの見解を示した。

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