「成果の全国普及を」 天然ダム災害対策でセミナー 公共事業省とJICA

 公共事業省と国際協力機構(JICA)は二十七日、南ジャカルタの公共事業省水資源総局で「天然ダム災害対策プロジェクト」の最終セミナーを開催した。
 二〇〇八年十一月に開始した天然ダム災害対策プロジェクトは公共事業省水資源総局の対応能力や、主要な危険地域の防災関連機関の天然ダムが決壊した際の対応能力の強化を目標に、危険地域把握のための調査手法の確立や警戒避難体制の整備を実施。
 特に東ジャワ州ジュンブル県やその周辺地域をモデル地域と定め、ハザードマップや危険地域調査マニュアルを作成したほか、わかりやすいイラストで土砂崩れの恐ろしさや仕組みなどを小冊子などにまとめ、天然ダムの決壊などに関する災害の危険性を周知してきた。
 今回の最終セミナーではモデル地域を事例としてこれまでの成果を振り返り、全国のインドネシアの防災対策に携わる各機関の職員に向け、広く周知することを目的として開催した。
 セミナーでは、プロジェクト開始当時から水資源総局で砂防技術協力のプロジェクトを進めているJICAの植野利康専門家がプロジェクトの経緯や成果を説明したほか、国土交通省所管の独立行政法人土木研究所土砂管理研究グループの石塚忠範上席研究員、国土交通省四国地方整備局四国山地砂防事務所の鷲尾洋一調査・品質確保課長らが日本の天然ダムの決壊した際の対策や防災教育などについて解説した。
 また、セミナーには在インドネシア日本大使館の牛尾滋公使が出席したほか、冒頭ではともに災害大国である日本とインドネシアが今後も砂防技術の交流推進を進めるとすることを目的として、国土交通省河川局砂防部の南哲行部長と公共事業省水資源総局のムハンマド・アムロン局長が合意書への署名を行った。また財団法人砂防・地すべり技術センターの近藤浩一理事長が、「クルアルガ・サボー(砂防)日本会」会長の松下忠洋復興副大臣(一九七〇年代にインドネシアの第二代砂防専門家として派遣)の親書を「クルアルガ・サボー・インドネシア」のスヨノ会長(元公共事業大臣)に手交した。スヨノ会長は一九七〇年から始まった砂防の技術協力について振り返り「現在は日本の協力もありインドネシアに砂防技術が根付いてきた」と感謝の意を表明。今回の署名を機に「今後も新たな形で継続して協力してきたい」と話した。

■ 災害前の対策を
 同プロジェクトが終わるとともに日本へ帰国する予定の植野専門家は、二〇〇八年の赴任当時のインドネシアの災害対策の意識について「災害が発生した直後の避難行動や備えといった、被害を軽減するための概念はほとんどないに等しかった」と振り返り、「現在はモデル地域を中心に避難することの重要性も少しずつ周知できてきているが、まだ全国に広く伝えていく必要がある」と指摘。
 現在のインドネシアの砂防技術について「インドネシアでの技術家も育ってきており、災害対策は進んできている」と語った。
 同プロジェクトは、二十九日から来月二日の間、ジョクジャカルタ特別州の職員らを対象にハザードマップの作成などのトレーニングを行い終了する予定だ。(高橋佳久、写真も)

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