ともに祝う犠牲祭 各地のモスク、町角で

 犠牲祭(イドゥル・アドハ)の1日、ジャカルタ各地のモスクや町角では祈りをささげたり、いけにえの牛やヤギを解体、分け合う人々の姿がみられた。

 南ジャカルタ・ブロックMの貴金属店「シンガラン」の前では1日午前9時ごろから、牛21頭とヤギ37匹の解体が行われ、肉1キロずつが2500人に配られた。
 解体には同店従業員ら男性約50人が参加。4年前からのど笛をナイフで切る作業を担当するハディ・アグスさん(54)は今回、息子のファウルディンさん(14)に仕事を教えながら作業を進めた。間近で作業を見たファウルディンさんは「牛を殺すのはまだ少し怖いが、父に近づけるように頑張りたい」と話した。
 解体が終わった午後3時すぎ、同貴金属店店主のイルファンさんが肉の引換券配布を始めると、見物客らが我先に殺到。スタッフが体を張ってバリケードとなり、引換券を配布し続けた。希望者の人数は想定を超え、立ちくらみを起こして救助される人が出るなど周辺は一時騒然とした。
 引換券を勝ち取ったジョエさん(32)は「押し合いの中で大変だった。肉は妻と子どもと食べる。年に一度の楽しみだ」と話した。

■デパートが主催

 中央ジャカルタ区のサリナ・デパートは、近隣地域のカンプンバリ、クボンシリ、クボンカチャンの住民約800人を招待。デパート裏の駐車場で午前9時〜午後1時、牛4頭とヤギ16匹を解体し、振る舞った。
 同デパートで働くファミ・ミナルディさん(38)は「牛やヤギの解体の場面を共にし、肉を提供するこの時は近隣住民と一体感を増す良い機会」と話した。

■礼拝で解体延期も

 金曜礼拝と重なったことしの犠牲祭。中央ジャカルタ区のイスティクラルモスクには正午ごろ、犠牲祭の祈りをささげようと家族連れらが詰めかけた。
 西ジャワ州ブカシ市から妻と息子2人と訪れたバフルル・バシャルさん(47)は、「犠牲祭は毎年、イスティクラルで祈っている。近いし、休日のお出かけにちょうどいい」と笑った。
 金曜礼拝と重なったため、いけにえの解体を延期したモスクも。同区の下町、クボンカチャンのバイトゥル・カリム・モスクでは牛35頭、ヤギ17匹の解体が2日朝に延期された。
 牛は、1人300万ルピアを出し合い住民7人で1頭を、ヤギ1匹は250万ルピアで個人購入したという。住民のアディティア・リナルディさん(26)は「決して安くはないけれど、みんなで出し合って購入し、ともに肉を分け合うことで一体感が出るんだ」と話した。(大野航太郎、上村夏美、坂田優菜)

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