被害総額1兆ルピア規模に 小巡礼詐欺 サウジのホテルも告訴
旅行会社ファースト・トラベル(FT)による小巡礼(ウムロ)ツアー詐欺事件の被害規模が拡大し続けている。当初5千億ルピア前後とみられた被害額は、ツアー申込者約6万人の推定8500億ルピアやサウジアラビアにあるホテルの未払い分など、総額1兆ルピア規模に達する勢いだ。コンパスコムが25日、報じた。
警視庁によると、捜査線上に浮上しているFTの未払い金は、サウジアラビアのジッダとメッカ、メディナにある4ホテルの宿泊代金計約500億ルピア、航空券代850億ルピア、査証手続き代金97億ルピアなど。
このうち、ジッダにあるホテルの外国人経営者は22日、警視庁を訪れ、宿泊代240億ルピアを踏み倒されたとして、FTのアンディカ・スラチマン社長=詐欺容疑などで逮捕済み=を同容疑などで刑事告訴した。
ホテル経営者の代理人によると、同ホテルがFTの小巡礼ツアー客受け入れを始めたのは2015年。当初、宿泊代金の支払いはスムーズに行われていたが、16年以降滞るようになり、ことし3月には支払いがストップした。その後も、FTはツアー客を送り続けたため、ホテル側は客を宿泊させざるを得ず、未払い金は増え続けた。
ホテル経営者は、宿泊代金の催促を続けたが、アンディカ社長は支払いに応じようとしなかった。このため、ラマダン(断食月)明け後、直談判のため来イしたところ、FTの詐欺事件を初めて知ったという。
同経営者は24日、日刊紙コンパスの取材に対し「(アンディカ氏は)相当な金持ちで、仕事で成功していると思っていた」と同氏を信用しきっていたことを打ち明けた。
これまでの調べでは、16年12月以降に実施、または実施予定のツアーで、参加代金を支払ったのは約7万2600人。このうち、実際に巡礼を行うことができたのは1万4千人だけ。被害届の提出は今後も続くと予想され、警視庁は被害者専用の特設カウンターを犯罪捜査局に設置して対応に当たっている。(坂田優菜)