二輪車の規制拡大へ 来月から試験開始 スディルマン、ラスナサイド通り 乗り入れ禁止
ジャカルタ特別州政府は二輪車の乗り入れ規制区域の拡大を計画している。公共交通機関への乗り換え促進や二輪車の事故防止が目的で、9月12日〜10月10日、目抜き通りのスディルマン通りとラスナサイド通りで試験的に導入する。各方面と協議し、11月の正式導入を目指す。
スディルマン、ラスナサイドの両通りは、いずれも片側4車線になる区間があり、二輪車はもともと中央分離帯に近い車線に乗り入れできなかったが、全面的に通行禁止になる。
運輸省の首都圏交通管理庁(BPTJ)が8日に開いた会議で、州運輸局が二輪車の規制拡大を提案。21日から警察による運転手への周知活動が始まっている。
24日には同省で首都圏(ジャボデタベック)の渋滞緩和策を話し合う会議があり、ブディ・カルヤ・スマディ運輸相は「バスを用意し、二輪車運転手の公共交通機関への乗り換えを促す」と説明。BPTJのバンバン・プリハルトノ長官は「州内の交通事故のうち6割が二輪車によるもの。規制拡大で安全を重視する」と強調した。
二輪車乗り入れ規制は、アホック前知事が2015年1月に渋滞対策の一環として中央ジャカルタのタムリン、メダン・ムルデカ・バラット両通りで導入した。当初は終日通行禁止だったが、通行が少ない夜間は規制の必要がないとして、3カ月後の4月に規制時間を午前6時〜午後11時に短縮した。
範囲拡大に併せ、通り沿いのビルの裏口を開放し、う回路にアクセスできるようにする。規制対象の通り沿いのジャヤ・ビル(中央ジャカルタ)、スカイラインビル(同)、グランド・インドネシア(同)などのビルや商業施設12カ所の駐車場を利用し、四輪車9724台、二輪車6528台分の駐車スペースを用意する。
規制時間は既存の通りと同じ午前6時〜午後11時。違反した場合は信号・標識無視となり、禁錮2月か最大50万ルピアの罰金が科せられる。
拡大対象となる通りでは、大量高速鉄道(MRT)や次世代交通システム(LRT)などのインフラ建設で車線数が減少し、朝夕のラッシュ時を中心に渋滞が深刻化している。このため、州議会などから反対意見が噴出している。
インドネシア交通コミュニティー(KTI)のムサ・エミュス代表は「二輪車運転手にも安さと早さ、便利さを選ぶ権利がある」と指摘。「(規制区間を通る)トランスジャカルタの第1路線(コタ〜ブロックM)を毎日利用すれば、二輪車よりも時間とお金がかかる。オートバイでう回路に出れば所要時間は2倍になり、運転手にとっては不平等以外の以外の何物でもない」と反対した。
トランスジャカルタを運営する州営トランスポルタシ・ジャカルタのブディ・カリウォノ社長は24日、運輸省の会議で、第1路線にはバス60台が運行しているため、十分なサービスを提供できると説明した。(中島昭浩)