駅の土地収用難航 MRT地上工区 地権者と交渉続く

 ジャカルタ特別州の大量高速鉄道(MRT)第1工期の地上工区、南ジャカルタ区ルバックブルス〜中央ジャカルタ・スナヤンの青年の像(約10キロ)で土地収用問題が未解決のままになっている。工区全体の工事進捗(しんちょく)率は62%まで進んでいるが、商店などが密集するハジ・ナウィ駅周辺では地権者との交渉が続いている。

 州営MRTジャカルタ(MRTJ)によると、昨年末の時点で136カ所の未収用地があったが、地権者との協議を進め、7月には残り26カ所となった。ファトマワティ地区では4カ所・約260平方メートルで完了しておらず、ハジ・ナウィ駅の建設が難航している。
 MRT建設は清水建設、大林組、三井住友建設、東急建設がインドネシア企業と共に共同事業体として建設を担っているが、土地収用は特別州政府や南ジャカルタ区、国土庁(BPN)らインドネシア側が担当している。
 州政府は土地価格を1平方メートル当たり2千万〜3500万ルピアと定めていたが、地権者は同1億5千万ルピアに見直すよう求めて提訴。地裁は6月14日、州政府に同6千万ルピアを支払うよう命じたが、州政府側は控訴している。
 MRTJのウィリアム・サバンダル社長は、ハジ・ナウィ駅などの土地収用が長引いた場合でも路線や他の駅は完成できると説明。「ハジ・ナウィ駅の完成が遅れた場合、同駅には停車しないで運行を開始する」と話した。
 地上工区には計7駅が設けられ、南端のルバック・ブルス駅周辺では車両基地(デポ)の建設が進められている。MRTJによる7月31日時点の発表では7駅全体の進捗率は62%で、ルバック・ブルス駅とデポ55%▽ファトマワティ、チプテ・ラヤ両駅70%▽ハジ・ナウィ、ブロックA、ブロックM、シシンガマンガラジャ各駅66%。橋桁の設置はハジ・ナウィ駅やルバック・ブルス周辺を残すのみとなっている。
 一方、スナヤンの青年の像〜ホテルインドネシア(HI)の地下工区(約5.9キロ)は88%。地下工区の6駅全体の進捗は87%で、最も建設が進んでいるドゥク・アタス駅では94%を終えている。
 MRT第1期工事は2018年8月開幕のアジア大会前の完了を目指す。ウィリアム社長は「年内に工事の90%を終え、来年5月には完了させる。試験運行などを経て19年3月に開通する」と説明した。(毛利春香)

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