「勤務先から遠い」 首都郊外の戸建て 「興味ある」半数のみ
首都圏の住宅購入に関する日刊紙コンパスの調査で、政府が推進する郊外の戸建住宅に対し、「興味がある」と回答した住民は半数にとどまった。勤務先から遠く、価格も上昇傾向にあり、戸建ての購入に踏み切れないケースが多いことが分かった。
調査は5月6〜8日にジャカルタ、バンテン州タンゲラン、西ジャワ州デポック、ブカシ、ボゴール(略称ジャボデタベック)の住民446人を対象に電話で実施した。
首都圏で戸建てを所有していない理由や問題点について、家の値段が高すぎる▽頭金と住宅ローンの金利が高い▽職場など毎日通う場所から遠い▽政府からの補助金が不十分――といった声が上がった。
政府は西ジャワ州ブカシ県に、1棟当たり1億1200万〜1億4100万ルピアの低所得者向けの住宅を建設。頭金が購入価格の1%に当たる112万ルピアからで、月75万〜90万ルピアで住宅ローンを組むことができるが、この住宅の購入に興味があると回答したのは50%で、46%は興味がないと回答した。
深刻化する渋滞で往復に時間がかかり、低価格でも、オフィス街など職場が集中しているジャカルタから離れた場所に住みたくないことを理由に挙げた。
また毎月、ジャカルタ特別州内で300万ルピア以下の家賃を払って生活している人の約50%が、家の値段と頭金、ローンの金利が高いこと、さらに価格の安い戸建ては職場から遠くなってしまうことを問題点として挙げた。
中銀が調査したジャボデタベックの土地価格の上昇率によると、2016年は第1四半期(2.24%)から、第4四半期(1.04%)まで下降し続けたが、17年の第1四半期は2%、第2四半期は3.25%を記録。現在、首都圏で約3億ルピアの家を購入しようとした場合、ジャカルタから少なくとも20〜30キロ以上、離れた場所になってしまうという。
また公共事業・国民住宅省の16年の調査によると、戸建ての家を持つ世帯は、インドネシア全体では82.6%だが、ジャカルタでは51%と国内で最も低かった。
政府は対策として、駅や商業施設などを同時に整備する公共交通指向型開発(TOD)を進めている。駅周辺で21万世帯分の低所得者向けの州営賃貸集合住宅(ルマススン)などを建設する計画で、ことし中には中央ジャカルタ区タナアバン駅と西ジャワ州デポック市ポンドック・チナ駅、同州ボゴール駅に、それぞれ3千〜4千世帯分を用意する。(毛利春香)