FPI60人が押し掛け ネット上で批判の女性宅
インターネット上で、イスラム擁護戦線(FPI)とハビブ・リジック・シハブ同戦線代表=ポルノ規制法違反などで容疑者認定=を批判した女性宅に、FPI構成員約60人が押し掛け、一時騒然となった。女性側に人的、物的被害はなく、逮捕者もなかった。ニュースサイトのテンポCOが1日報じた。
女性は、バンテン州タンゲラン市ピナン郡クンチラン在住のインドリ・ソライヤ・ズルカルナインさん(38)。宗教冒とくなどで禁錮2年の判決を受けたアホック・ジャカルタ特別州知事の大ファンで、ジョコ・ウィドド(ジョコウィ)大統領の支持者でもある。
5月初旬からインターネットのフェイスブック上で、「なぜリジックはサウジアラビアから帰って来ない? 怖がっているのでは?」などと批判していた。
批判に反応したFPIは同17日ごろから、インドリさんに報復するための人員集めをインターネットを通じて始めた。インドリさんは知人から人員集めの情報を知らされたが、警察に通報するなどの行動はしていなかった。
FPI構成員らが自宅に押し掛けたのは4日後の同21日。午後8時ごろに同州観光地のタンジュン・パシール海岸から家族で戻ってきた時に、構成員約60人が自宅前に集結し、物音を立てるなどして住民らに迷惑行為を働いていた。一緒にいた隣組(RT)長に案内させたとみられる。
インドリさんが親類の警官に連絡したところ、女性宅近くにあるチボンド警察署のバユ・スセノ署長が駆け付け、危険な状況と判断。同署長は午後11時ごろ、インドリさんと夫を保護し、2人を連れて同警察署に戻ろうとした。
しかし、多くのFPI構成員が後を付いてきたため、同署長はインドリさん夫婦の身柄をFPI側代表者数人とともにタンゲラン市警に移送した。
同市警内では、FPI側が「二度と批判しない」という内容の誓約書を書かせようとしたが、インドリさんは「誰も私の間違いを指摘できない」と拒否し続けた。
しかし、警察の仲裁があり、約2時間後に「ハビブ・リジックの名を汚し、迷惑をお掛けしました」と書いた謝罪文を書き、FPI側も「今後、暴力・テロ行為はしない」とする誓約書を書いたため、一件落着となった。
この「手打ち」で、タンゲラン市警のハリー・クルニアワン本部長は「すでに平穏を取り戻した。(送検など)法手続は取らない」と話したが、インドリさん自身は今後も、感情的な表現を避けて批判を続ける意思を示している。(中島昭浩)