世界が認める工場に MMKI 加藤隆雄社長

 4月に行われた三菱自動車(MMC)新工場開所式には、ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領が出席し、インドネシア側の大きな期待がうかがわれた。生産能力は年間16万台。三菱自動車としてはインドネシア初の本格的な製造拠点となる。三菱自動車は、燃費不正問題から、2016年10月に日産の出資を受け、ルノー・日産アライアンスの一員となった。工場建設当初とは、取り巻く環境も大きく変わっている。その拠点を率いる三菱モーターズ・クラマ・ユダ・インドネシア(MMKI)の加藤隆雄社長(55)に、今後の抱負を聞いた。

 ロシア駐在を終え古巣の名古屋製作所に戻っていた加藤さんに、インドネシア赴任の打診があったのは15年2月。「正直なところ、ロシア帰任からわずか1年で、また駐在なんて」と当時を振り返る。「子どもの学校もあり、また単身になるな」と家族のことが頭をよぎった。しかし、「インドネシアはこれから成長するポテンシャルの高い国。大きなプロジェクトになる」と心ひかれ、やりがいを感じる自分もあった。「海外工場の立ち上げを一生のうちに2度手がけるなんてない」と、加藤さんはインドネシアに飛び込むことを決めた。

■議論を尽くす
 エンジニアとして海外のプロジェクトに多く関わった加藤さんは、米国イリノイ州とロシアでの駐在経験を持つ。
 ロシアでは、モスクワの南西約180キロのカルーガ州で、プジョーとの合弁工場をフランス人技術者と立ち上げた。彼らには彼らなりのエンジニアとしての自負があり「簡単には受け入れない」という壁を感じた。
 当初、議論をしてぶつかることも多く、技術的な内容や進め方など説得に苦労することもあった。しかし、エンジニアとして「良い車をつくる」という目的に向かっているのは同じと考え、議論を尽くした。やがてお互いに相手の実力もわかり、認め、徐々に打ち解けるようになった。
 「インドネシアでも、いろいろなことがあったが、ロシアでの経験が大いに役立った。『立ち上げ大変でしょう』とよく言われたが、経験済みのことも多く、自分ではすんなりとやっていけた」と加藤さんは振り返る。

■教育制度と職場環境
 「ルノー・日産グループとの提携によって、世界中にたくさんの関係工場ができた。これからは世界中の工場との競争。MMKIがよいパフォーマンスを残し、世界中から認められる工場になるのを目指す」と加藤さん。そのために教育制度と職場環境を整えることに力を入れる。
 MMCの海外工場は日本人が多いといわれる。しかし、開所式での大統領のコメントにもあったが、これからは、インドネシアの人々が主要なポジションに就き工場を引っ張っていくようにならなければならないと、加藤さんは考える。
 そのために知識移転、技術移転が進むようにする。知識と経験、それぞれの社員の成長レベルを確認し、次の段階に進むような教育管理体制を整える。その上で、育った人材がいなくならないように、モチベーションを持続できる職場環境を築きたいと語る。
 「さいわいMMCは、この国で知名度、ブランド力があり働きたいと望む人々がいる。ここで懸命に学び働いて、MMKIを世界から評価される工場に引っ張っていってほしい。工場という城ができた後には、そこで活躍する人々のための道を作る」と、加藤社長は締めくくった。(太田勉、写真も)

◇ かとう・たかお 84年、京都大学工学部物理工学科卒。三菱自動車入社。名古屋製作所(現岡崎製作所)に配属、一貫して生産畑。特に溶接、プレスが専門。92〜95年米国、10〜14年ロシア駐在。名古屋製作所の副所長を経て、15年、新工場立ち上げのため赴任。62年三重県生まれ。55歳。

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