「アホック釈放を」 正義求め判決に抗議 少数派、「分断」に危機感

 イスラムの聖典コーランを侮辱したとして、アホック・ジャカルタ特別州知事(50)に宗教冒とく罪で禁錮2年の判決が下され、収監されたことに対し、抗議運動が活発化している。多様な宗教や民族からなる統一国家インドネシアの分断を危惧する声も聞かれる。

 判決翌日の10日夜、中央ジャカルタの独立宣言塔広場では集会が開かれ、5千人超が詰めかけた。抗議のメッセージを込めた黒いリボンを身につけた参加者らがキャンドルに火をともし、「アホックの釈放を」「正義のための団結を」などと訴えた。反アホック氏運動を先導してきた強硬派団体・イスラム擁護戦線(FPI)のハビブ・リジック・シハブ代表の逮捕を求める声も多く上がった。
 旅行会社勤務でカトリック教徒のトマス・マティアス・ベルナルドさん(32)は「非寛容で過激なグループによって、(国是の)『多様性の中の統一』が失われようとしている。私たちが今戦わないと、マイノリティーはつぶされてしまう」と危機感をあらわにした。
 ムスリムの参加者も声をそろえた。レストランで働くジョシーさん(42)は「知事はムスリムである必要はないし、アホック(の発言)は宗教ではなく政治家を標的にしたまで。選挙や政治の問題が、もはやインドネシアの統一を揺るがす問題になってしまった」と表情を曇らせた。
 不動産会社勤務のディアトリ・ニンディアスタリさん(32)は「今までは知事や大統領が誰か、気にもしなかった。こういう集会に参加するのは初めて」と言う。「汚職まみれの政治に嫌気が指していたが、アホックは希望だった。こんな状況では経済成長も外国の投資も望めない。インドネシアの将来が心配」と話した。
 集会にはアホック氏の義姉でムスリムのナナ・リワヤティさんも登壇した。拘留中のアホック氏と面会したと言い、「とても政治的なこの試練に、彼はめげていない。気持ちを強くもって、インドネシアのために団結し続けよう」と涙ながらに呼びかけた。
 抗議活動は10日早朝、州庁舎でも行われた。著名指揮者のアディ・MS氏が参加を呼びかけ、駆け付けた市民たちによる合唱を指揮、国歌インドネシア・ラヤが庁舎周辺に鳴り響いた。知事代行に就任したジャロット副知事も加わった。
 11日には、アホック氏の保釈、宗教冒とく罪を規定した刑法156a条などの司法審査、非寛容グループの取り締まりなどを求める署名活動も始まった。
 アホック氏の身柄は10日朝、東ジャカルタのチピナン拘置所から西ジャワ州デポック市の国家警察機動隊本部に移された。治安上の理由としている。
 キリスト教徒のアホック氏はコーランを侮辱する発言をしたとして、イスラム団体らの猛反発を受け、昨年11月、宗教冒とく罪などで起訴された。求刑を上回る判決を受け控訴したが、即時収監された。(木村綾、写真も)

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