大祭ワイサック祝う 西ジャカルタの仏教寺院 信者1万人集まる
西ジャカルタ区クボンジュルックの仏教寺院「エカヤナ仏教徒センター」で11日、ブッダの誕生、悟り、入滅(死去)を祝う大祭ワイサックが開かれた。警官、国軍兵士計160人が警備に当たる中、仏教徒約1万人が集まり、説法やお祈りを通して信仰を深めた。
大祭は午前9時半ごろに始まった。まず僧侶約25人が鉢を持ち、信者らの前を歩いて回って食べ物を乞う托鉢(たくはつ)を行った。読経の声が流れると、場内は独特な雰囲気に包まれ、説法やお祈り、瞑想(めいそう)が行われた。
インドネシアでは憲法29条2項の「国民がそれぞれの宗教を有し、その宗教及び信仰に従って礼拝を行う自由を保障する」に基づきワイサックを祝日としている。このため、大祭にはルフット・パンジャイタン海事調整相が列席し、「我が国にはさまざまな宗教があるが、一つ一つを尊重することが統一国家としてあるべき姿だ」と演説した。
大祭の受付では、飲料水や弁当、貯金箱などが入った袋が信者に無料で配られた。袋はワイサックに向けた寄付で用意された。
大祭運営の手伝いに集まったボランティアは100人以上。その一人のキラさん(33)は「自分の家族や友達を愛するように他人を愛し、人をねたんだりしないことなど、仏教の徳目の一つである四無量心を大切にしている」と話し、ボランティア活動や食べ物の寄付を通して四無量心の実践を心がけているという。
妻と娘2人を連れて参加したアセンクさん(29)は「大祭は子どもたちにとって仏教を学ぶ良い機会」と話した。アホック・ジャカルタ特別州知事のコーラン冒とく事件のように、宗教と政治が結びつけられがちな状況については「うんざりしている。宗教と政治をいつも一緒に考えるのは間違っている。きょうはブッダの生誕を祝いに来たので、政治の話はしないでくれよ」と話した。(上村夏美)