広がる花輪旋風 インドネシア各地へ
ジャカルタ特別州のアホック知事に感謝を伝える花輪が州庁舎に届く中、地方の市役所や警察本部、広場などにも同様の動きが広がり、インドネシア各地に花輪があふれ始めた。
ジョクジャカルタ特別州の警察本部前には、25の花輪が並んだ。アホック知事宛の花輪の隣に、「多様性の中にある統一インドネシア共和国(NKRI)を守ってほしい」という警察へのメッセージが書かれたものが置かれた。
中部ジャワ州のソロ市役所には4日、花輪が八つ並んだ。メッセージには「民主主義を破壊していくように分裂するのはもうやめよう」と書かれていた。
東ジャワ州スラバヤ市の州警本部前にも多くの平和を願う花輪が並んだ。州警本部のフランス・バルン・マンゲラ報道官は「インドネシアにはこれまで涙や血を流してきた多くの犠牲があった。これから軍や警察が国を守るために先頭に立って頑張っていく」と話した。スラバヤ市内の記念塔近くにも花輪が四つ置かれた。
■ジャワ島を越え
北スマトラ州メダン市のムルデカ広場に花輪が届いたのは4月30日。「あなたの奥さんの町を立て直して、私たちにはあなたのようなリーダーが必要です」など、アホック夫人のフェロニカさんがメダン出身であることを踏まえたメッセージがあった。
北スマトラ州北タパヌリ県タルトゥン市にも花輪が届いた。「アホックおじさんあきらめないで」と書かれ、地元のバタック人とアホック知事は似ていると添えられていた。
バリ島デンパサール市にも花輪が届けられている。バリでは落選が決まったアホック知事をバリ州の次期知事に望む声が、「花輪現象」の前からネット上で広がっている。バリ州議会前には現在三つの花輪が並ぶ。「アホックさんをバリのリーダーへ」「アホックさん、あなたはインドネシアのヒーロー」「アホック氏は次の若い世代の手本になった」などとメッセージが残された。
このほか、北スラウェシ州マナド市の市役所と警察、西ヌサトゥンガラ州ロンボク島のヌサトゥンガラ警察、中部カリマンタン州パランカラヤ市の警察、パプア州ジャヤプラ市のパプア警察本部にも花輪が並んでいる。
■記録博物館の認定も
ジャカルタ特別州庁舎に届いた花輪の数が5千を超えたとして、インドネシア記録博物館(MURI)は4日、「花輪の列が最長」として記録認定した。ジャカルタ・ポストによると、MURIは当初、花輪を最初に送った人物に認定証を贈る予定だったが、特定が難しく、代わりにアホック知事とジャロット副知事に認定証を贈った。庁舎に届いた花輪の数は2日時点で5016だった。(上村夏美)