【アルンアルン】インドネシアの都市圏

 直近の2010年人口センサスによれば、インドネシアの都市人口割合は50%と、その10年前の調査から8ポイント増えている。この都市化のメカニズムは、その社会・経済への影響と併せて、人々の関心を集め、これまで数多くの分析がなされてきたが、「都市」はその定義が各国で異なることからもうかがえるように、取り扱いが難しい変数である。
 インドネシア政府の定義をみると、行政村(デサやクルラハン)は、人口密度や農家世帯割合、公共施設数などに応じて点数がつけられ、合計がある水準を超えた場合に都市部となる。図の上段は10年のジャワ島の都市部を示しているが、その面積の広さに驚かされる一方で、点在する都市部の存在に気づく。そして、この離れ小島のような場所もジャカルタ中心部に含まれる都市部と同列に扱ってよいのか、疑問に思うことだろう。このような問題を念頭に、先進国では都市の機能面、特に人口の地理的な集積に注目した都市圏情報が作られているが、途上国では一般に未整備なのが現状である。
 こうした問題意識から、筆者は同僚の橋口善浩氏と共同で、経済協力開発機構が設定した都市圏の定義に準じて、インドネシアの都市圏データの構築を進めてきた。具体的には、人口密度が高い行政村を探し、それらが地理的に隣接しあうときにはそのつながった地域全体の人口を計算し、合計が10万人以上となった場合に都市圏とみなしている。図の下段はジャワ島の都市圏をあらわしたものだが、上段と比べて「都市」の面積は小さくなっていることが分かる(色の濃さは都市圏の規模を示す)。
 この都市圏データを使った場合には、従来とは別の角度からインドネシアの都市化を確認することができる。全国でみると、00年から10年間で都市圏は10カ所増え、また、都市圏人口割合も4ポイント増えて10年には36%を占めていたことも分かってきた。このデータを使った研究はまだ緒に就いたばかりである。都市化の影響等に関する分析結果については、また機会をあらためて紹介することにしたい。(アジア経済研究所研究員・東方孝之)

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