古代壁画 再発見 人や動物描いた29点 壁画文化の存在裏付け スマトラ島ジャンビ州
スマトラ島ジャンビ州サロラングン県ブキット・ブラン地区の洞窟2カ所でこのほど、人や動物を描いた計29点の古代壁画が新たに見つかった。調査を実施した国立南スマトラ考古学センター(南スマトラ州パレンバン市)が20日、発表した。
スマトラ島では2009年、インドネシア国立考古学研究センターによる調査で、南スマトラ州オガン・コムリン・ウル県のハリマウ洞窟から古代壁画が初めて見つかり、古代壁画の文化はインドネシア国内東部でしか発展しなかったという定説を覆した。今回の発見は、同島各地に高度な壁画文化が存在したことの裏付けとなりそうだ。
発見場所のブキット・ブラン地区はカルスト地帯で、少なくとも約20の洞窟がある。
南スマトラ考古学センターによると、新たに見つかった壁画は、クルバル1洞窟の11カ所とスンガイ・ルルイ洞窟の18カ所。クルバル1洞窟では、入り口から高さ約4メートルの場所に描かれていた。
ハリマウ洞窟で09年に見つかった壁画は網のような模様だったが、今回発見された壁画には人間やトカゲのような動物のモチーフが描かれているという。
またハリマウ洞窟の壁画は赤色だが、今回見つかった壁画は白と黒色。顔料と水を混ぜたものを使用し、布で押し付けたり木炭でひっかいたりするなどして描かれたとみられている。
同センター調査チームのルリィ・ファウジさんは「今回見つかった壁画は、新石器時代のオーストロネシア人が描いたと考えられる」と説明している。
ブキット・ブラン地区にある16の洞窟からは先史時代の遺跡が見つかり、陶器などが出土しており、新石器時代以前から人類が生活していたと考えられている。
スマトラ島では16年、西スマトラ州文化遺産・保護研究所(BPCB)が、同州タナ・ダタル県のシトゥンブで75、リンタウで150の古代壁画を発見した。またアチェ州中部アチェ県では、約8800年前と推定される先史時代の人骨などが見つかっている。(毛利春香)