「コス価格のアパート」を アホック知事 中間層向け建設へ
ジャカルタ特別州政府は、州内に勤務する中間層向けの州営集合住宅を建設する。アホック・ジャカルタ特別州知事は「コス(下宿)価格のアパートメント」と説明。建設が進む次世代型交通システム(LRT)や大量高速鉄道(MRT)の駅にアクセスしやすい場所に建てる予定で、州内の高額な家賃を払えず、ジャカルタ郊外に住む世帯に安価な住居を提供し、通勤時間を短縮する。2018年中の完成を目指す。
中間層向けの州営集合住宅は、1戸36平方メートルタイプが月200万〜300万ルピアの家賃になる予定。州によると、州内の一般的な賃貸住宅の家賃は、立地条件やタイプにもよるが、月400万ルピアから高いところでは同3千万ルピア以上。このため、家賃が安い郊外の西ジャワ州デポックやボゴールなどからジャカルタに通勤する人が多い。
州政府は洪水対策に伴う住居の強制撤去などで転居を余儀なくされた住民向けに州営集合住宅を建設してきた。これらは賃貸契約のみだったが、中間層向けでは、マンションのように1戸単位で購入でき、分譲後も州に売却できるようにする。分譲価格は36平方メートルタイプが3億ルピアほどになる見込み。
アホック知事は「月給1千万ルピア前後の家庭が十分支払える額。月給が州最低賃金の2倍くらいの家庭にとってはまだ高い」と述べ、入居を促進するために家賃の補助金を支給する意向を示した。
さらに建設地は、LRTやMRT用車両基地の建設予定地のほか、再編成が進むバスターミナルの周辺と説明。駅やターミナルへのアクセスしやすい立地に建設し、通勤時間短縮とともに時間の有効活用を促進する。公共交通機関の利用者増加も図りたい考えだ。
候補地として、MRT用車両基地が建設中の南ジャカルタ・ルバックブルス、LRT用車両基地を建設する北ジャカルタ・クラパガディン、長距離バス事業社のプログバン・バスターミナル(東ジャカルタ)への移管が進むプロガドゥン・バスターミナル(同)周辺などが挙がっている。
州政府はまた、洪水対策による州内河川のしゅんせつや拡幅作業に伴い、転居する住民向けと合わせ、年内に州営集合住宅1万1105戸分を建設する予定。民間企業と協力し早期の完成を目指し、工事に向けた入札も実施するという。(中島昭浩)