イ女性が臓器売買被害? 出稼ぎ先のカタールで 外務、労働両省が調査 病院が否定し事態収拾へ

 出稼ぎ先のカタールから約3年前に帰国した女性(25)が2月下旬、「(同国で)入院中に臓器売買の被害に遭い、腎臓を勝手に摘出された」と訴え出て、インドネシア政府に捜査や支援を求めた。事実ならば、出稼ぎ者絡みの重大事件、外交問題に発展する可能性があり、外務、労働両省が自治体、警察と連携して調査に乗り出した。しかし、女性を診察した地元病院が1日になって、「腎臓は存在する」と発表、事態は一転して収拾へ向かいそうだ。

 この女性は、西ヌサトゥンガラ州北ロンボク県在住のスリ・ラビタさん。2014年7月からカタールで家政婦として働き始めた。約1カ月後、雇用主から健康診断を受けるように指示されて病院へ行った際、「手術室のような部屋に運ばれ、麻酔を打たれ意識を失った」。その後、右腰当たりに手術の痕があり、痛みを感じたという。
 スリさんが診察内容や痛みの理由を尋ねても、病院や雇用主からは明確な答えはなかった。さらに、同年11月には「家政婦として働くには健康状態が悪い」として、一方的にインドネシアへ送り返された。その後の約3年間、スリさんは痛みを感じ続けてきたという。
 「腎臓摘出」の疑念を抱き始めたきっかけは16年暮れの第1子出産だった。出産後、痛みが増したため、西ヌサトゥンガラ州総合病院で診察を受けたところ、医師から「右の腎臓がなくなっている」と告げられたという。
 2月下旬には、スリさんの「腎臓摘出、売買疑惑」を報じるメディアが出始めたが、同総合病院は1日に開いた記者会見で、「腎臓は左右ともある。『なくなっている』と診断した事実も、スリさんに伝えたこともない」と完全否定。
 同院のアグス・ルシュディ医師によると、スリさんは2月11日、腰の痛みを訴えて同総合病院に来院。検査の結果、3年前にカタールで腎臓結石の手術を受けた跡があることが分かった。さらに、同月20、28両日にCTスキャンなどよる精密検査を実施したところ、腹部に小さな管が残っていることが分かり、2日、管の摘出手術を受けた。
 管は、カタールの手術の際、誤って残された可能性が高いという。
 このため、労働者派遣保護庁(BNP2TKI)が調査を継続し、在カタール・インドネシア大使館は、カタールの病院からスリさんのカルテを取り寄せている。(毛利春香)

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