【東南アジアの観光客 地方へ呼び込め(上)】 「一番近い日本」宣伝 沖縄県、急成長のイに照準 

 三線で沖縄民謡を弾きながら、かりゆしウェアを着た山城憲一郎さん(四〇)が、セミナーの壇上に登場した。手拍子で迎えるインドネシア人の旅行関係者たち。山城さんは一九九五年に設立した沖縄県香港事務所の所長で、県を代表してジャカルタで初めて沖縄観光を宣伝した。
 二〇一一年に沖縄県を訪れた観光客は五百四十七万九千百人。外国人観光客の割合は五%で、台湾や香港、中国、韓国からの旅行者が全体の八割弱を占めている。アジアの他国からの観光客はまだまだ少ないのが現状だ。
 沖縄県の仲井真弘多知事は「観光客千万人誘致」を公約とし、アジアの秘境的な観光地から国際的なリゾート地への発展を目指している。これまで観光政策において戦略外の国だったインドネシアで観光客誘致に乗り出したのは、発展著しい経済やアジア有数の人口集中型の首都ジャカルタで効率的な宣伝効果が望める点を見てのこと。アジア地域における空の足の利便性向上などの追い風を受けた挑戦だ。
 インドネシアの富裕層の取り込みを目指す。アジアの他都市でも治安への不安が少なからず残る中、「安心・安全で、ハイグレードな海外旅行をアピールしたい」と山城所長。穏やかでゆったりとした県民性や質の高いホテル、渋滞のない道路など、都市の雑踏でストレスを感じて働いている人たちに羽を伸ばしてもらえる観光地になることを目標の一つに据える。
 セミナーではジャカルタと沖縄県の広さや人口を比較。インドネシア人にもなじみの深いゴーヤや観光資源として人気が高いビーチ、伝統文化を紹介した。
 「インドネシアから最も近い日本へようこそ」と山城所長。地理的に沖縄県は東南アジアと日本を結ぶ窓口とも言え、近年は国際会議も頻繁に開催。二〇一〇年にはアジア太平洋経済協力会議(APEC)大臣会合、二〇〇〇年には主要首脳会議(G8)の舞台となった。(岡坂泰寛、写真も)
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 八日にジャカルタで行われたジャパントラベルセミナーに参加した沖縄県、九州、中部(長野、岐阜)・静岡県の担当者に、インドネシアを中心とした東南アジアへの観光戦略を聞いた。

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