高架式遊歩道が完成間近 西ジャワ州バンドン市 露天商、移転に期待と不安
西ジャワ州バンドン市のチハンプラス通りで建設中の高架式遊歩道「スカイウオーク」。3月の供用開始を前に、現場では電気配線や水道の配管などの最終作業が進んでいる。同市当局は2月から、チハンプラス通り沿いで営業する露天商や屋台を遊歩道上へ順次移転させる計画だが、当の露天商らの胸中では移転への期待と不安が混在しているようだ。
高架式遊歩道は、高さ4.6メートル、幅9メートル、全長450メートル。渋滞緩和と観光客誘致を目的に、バンドン市が事業費480億ルピアを支出、2016年9月に着工した。工事の進ちょく率は今月16日時点で87%。
6カ所の階段とエレベーターで上り下りする。休憩用のベンチも設置され、夜間は、ライトアップされたパスパティ橋が望める。
チハンプラス通り沿いには、地場系ホテルや土産物店などが建ち並び、観光客目当ての露天商が多い。このため、歩行者の通行が妨げられ、道路にはみ出して歩くなど混雑の原因にもなり、歩行者にとっても危険な状況となってきた。
高架式遊歩道の完成後、これら露天商は立ち退きと移転の対象となる。移転先の遊歩道上には197の露天商用ブースが用意され、「現在、チハンプラス通り沿いで営業中の露天商数を再集計し、移転させる露天商とその総数を確定させている」(バンドン市のリドワン・カミル市長)という。
市側は2月から露天商の移転に着手し、3月から営業開始を許可する計画。遊歩道へ上がる階段下でTシャツを売るダダン・ロフマンさん(48)は「遊歩道の建設作業のため客足は半分程度に減った。早く遊歩道上に上がり、収入を増やしたい」と話した。
チハンプラス通り脇でフライドチキン屋台を開くレギ・リカルドさん(19)は、3年分の借地代57万ルピアを支払い済み。しかし、その1年目で遊歩道に上がることになるため、2年分の借地代が無駄になるという。
屋台の営業には大量の鶏肉と米飯が必要で、「遊歩道上に上がるのは荷物が重く疲れる。下の方が客足は多いのに」とため息をついた。
チハンプラス通り脇にアクセサリー店を開いて10年になる、西スマトラ州ブキティンギ出身のイブラヒムさん(30)は、露天商の移転を「少し寂しい」と漏らす一方で、「これまでは露天商が客を集めてくれた。遊歩道が注目され、代わりに多くの観光客を集めてほしい」と新名所に期待を込めた。(中島昭浩、写真も)