「汚職者には厳罰」 ユドヨノ大統領 私邸でTV演説 民主党不正疑惑 党首更迭は否定
ユドヨノ大統領(民主党最高顧問会議議長)は五日夕、西ジャワ州ボゴール県チケアスにある大統領の私邸で、同党の古参幹部と協議し、その後のテレビ演説で党の現状への認識と今後の方針について国民にメッセージを発した。大統領は、汚職疑惑により憶測が出ていたアナス・ウルバニングルム党首の更迭は否定したが、「汚職関与が認められれば、誰であれ民主党を去ってもらう」と言明。党幹部の汚職疑惑と幹部間の対立が連日報じられ、騒動が政権の求心力に影響を与えかねない事態に発展する中、大統領が危機感をあらわにし、党の結束を改めて訴える形となった。
大統領は「汚職撲滅委員会(KPK)がアナス氏を容疑者に断定しない限り、アナス氏は任務を全うし続ける。われわれはKPKが進めている法手続を尊重している」と明言。「アナス氏は現在、KPKが捜査している汚職事件に関与しておらず、金権政治にもかかわっていないと明言している」と述べ、現時点ではアナス氏を支持する姿勢を打ち出した。
一方で「この数週間で国民はどのような措置が下るか知ることになるだろう」と述べ、汚職の関与者には厳しい措置を下すとの姿勢を明確化。党内対立が表面化していることに対しては「(党内対立は)われわれ民主党が本来持つ性質と相反する」と批判し、「世論調査で民主党の支持率が落ちている。それは事実であり、現実だ。われわれは民主党が直面している現状を認めたほうが良い」と述べ、党員に奮起を促した。
民主党内の汚職疑惑は、昨年中ごろに党会計部長を務めていたムハンマド・ナザルディン被告が党幹部の関与を次々に暴露して騒動に発展。今月三日にKPKがアンジェリナ・ソンダク副幹事長を容疑者に断定し、アナス党首の関与の有無に焦点が移っている。ナザルディン被告は受け取った賄賂をアナス氏の党首選の選挙資金に流用したと暴露している。
アナス党首に疑惑が持ち上がって以降、二〇一〇年の党首選以来の党内亀裂が表面化。アナス氏の追い落としを図っているとみられる勢力がアナス氏に批判的な見解を頻繁にメディアで発表しており、有力幹部の中で党首の後任候補の選定が始まっているとの見方も広がっている。