全紙幣・硬貨を刷新 中銀 国家英雄12人、統一国家の文字
インドネシア中央銀行は19日、デザインを刷新した紙幣7種と硬貨4種の計11種の流通を開始した。すべての貨幣を一度に刷新するのは、インドネシアが独立してから初めて。インドネシアの国家英雄12人や、各地の伝統舞踊や自然豊かな景観などをあしらい、「統一インドネシア共和国(NKRI)」の文字を入れたデザインで偽造を防ぐ工夫も凝らした。
ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は19日、中央ジャカルタの中銀庁舎で記者会見を開き、「インドネシアの国家英雄や各地の文化や特徴を取り入れ、世界経済の中でインドネシア経済が自立して行く姿を示したデザインだ」と説明。「インドネシア国家の象徴の一つとして、ルピアを好きになってほしい」と話した。
式典にはアグス・マルトワルドヨ中銀総裁、ダルミン・ナスティオン経済調整相、スリ・ムルヤニ財務相、プラモノ・アヌン内閣官房長官らも出席した。
アグス中銀総裁によると、各紙幣には9〜12種類の偽造を防止するための工夫が施されている。潜像模様やホログラムなどを取り入れ、傾けて見ることで色が変化、画像や文字が消えたり浮かび上がったりするほか、紫外線を当てることで別の色や文字が現れるなどする。
今回の刷新には、若者に国家英雄を知ってもらう目的もある。硬貨4種のデザインには初めて、国家英雄の肖像がそれぞれ使用された。また紙幣のデザインは、10万ルピアのスカルノ初代大統領とハッタ初代副大統領のみ変更せず、他は全て一新された。
2千ルピアには中央ジャカルタを南北に走る目抜き通り「M・H・タムリン通り」の名称となっているモハマッド・フスニ・タムリン氏が選ばれた。5万ルピアはこれまで、バリの空港の名称となっているバリ出身の軍人イ・グスティ・ングラライ氏だったが、東ジャワ州スラバヤの空港名となっているジュアンダ・カルタウィジャヤ氏に変更された。
東西南北に広がるインドネシア各地の英雄に配慮し、千ルピアにアチェの女性指導者チュット・ムティア氏、1万ルピアにパプアの元州知事フランス・カイシエポ氏、2万ルピアにスラウェシ島で初の知事を務めたサム・ラトゥランギ氏、5千ルピアにカリマンタン島のイスラム指導者イダム・ハリッド氏の肖像を採用した。(毛利春香)