LRTのレール設置 アジア大会向け急ピッチ 南スマトラ州パレンバン
2018年の第18回アジア大会開催地の一つとなる南スマトラ州パレンバンで、高架式の次世代型交通システム(LRT)の建設工事が急ピッチで進んでいる。支柱はほぼ完成し、空港から1キロ地点ではレール部分の建設も始まった。
LRTは、パレンバンの第2スルタン・マフムッド・バダルディン空港とアジア大会の会場となるジャカバリン競技場を結ぶ。空港と接続する全国初のLRTとなる見込みで、全長24.5キロの間に13駅を設置。工事は国営建設ワスキタ・カルヤが進めている。18年1月に試験走行を開始、6月開通を目指す。
スポーツ複合施設のジャカバリン競技場は、同市中心部から5キロほど南東に位置する。アジア大会では各種競技のほか、閉会式も行われる予定。
建設工事に伴う渋滞が深刻化しており、空港からジャカバリンまで通常1時間ほどだが、今では2時間以上かかるという。
4年前から、ジャカバリン競技場内でバッソ・バカール(焼き肉団子)を売るサミーさん(60)は「以前は自然を楽しんだり、くつろぎに来る人が多かったが、LRT建設が始まって、競技場を訪れる人の数は3割ほど減ってしまった」と話す。
渋滞に加え、競技場内の警備も厳しくなっている。数カ月前はスポーツ競技場内を自由に出入りできたが、今では敷地内の車両の通行も規制され、会場内の写真撮影も制限されている。
パレンバン在住の大学生アンデス・ケイティさん(23)は「ムシ川をまたぐアンペラ橋の周辺は工事が遅れている。18年までに終わるのか心配だ」と話した。
ことし3月には、ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領も視察に訪れ、将来的には全国の空港にLRTなどの公共交通機関をつなげるとの方針を示した。
ジャカバリン競技場は04年の第16回国民体育大会(PON)開催前に完成した。国際的なスポーツイベントに使用されており、11年には第26回SEAゲーム(東南アジア選手権大会)が開かれた。07年には、日本と韓国が対戦したサッカー・アジアカップの3位決定戦が行われた。(江原早紀、写真も)