ジェシカ被告 禁錮20年 事前に注文、映像を重視 中央ジャカルタ地裁 コーヒーで計画的毒殺
中央ジャカルタのカフェで1月、ワヤン・ミルナ・サリヒンさん=当時(27)=のコーヒーに毒を入れ殺害したとして計画殺人罪に問われたジェシカ・クマラ・ウォンソ被告(28)の判決公判が27日、中央ジャカルタ地裁で開かれ、キスウォロ裁判長は求刑通り禁錮20年の判決を言い渡した。被告は控訴する方針。
キスウォロ裁判長は「計画的な毒殺。友人から(被告自身のことで)非難を受けたという理由で殺害に及んでおり、残酷な犯行。罪の意識や反省の念が見られず、自己保身のために罪を認めていない」と指摘。「被告はまだ若く、将来、改善の余地がある」と述べ、禁錮20年を言い渡した。
判決によると、ジェシカ被告は1月6日、中央ジャカルタの高級ショッピングモール「グランド・インドネシア」1階にあるカフェ「オリビエ」で、ミルナさんが訪れる前にあらかじめ予約しておいたテーブルに1人で着き、アイス・ベトナムコーヒーを注文。支払いを済ませた後、猛毒のシアン化ナトリウムを入れ、毒入りコーヒーをミルナさんに飲ませ、殺害した。
裁判官はジェシカ被告と弁護団の主張をすべて退けた。キスウォロ裁判長は「(毒殺の)犯行を証明するために、目撃者は必ずしも必要ではない」とし、被告がテーブルに運ばれてきた飲み物と、自身の手元を隠すように紙袋を置いた監視カメラ(CCTV)の映像や、事前にミルナさんのコーヒーを注文して支払いを済ませた点などから計画的な犯行だと判断した。
判決文朗読後、裁判長から陳述を認められたジェシカ被告は「公平さがなく一方的な判決で受け入れられません。法や正義に基づいておらず、私たちは控訴します」と語った。
弁護団代表のオットー弁護士も「証拠を重視せず、検察の主張をなぞっただけ。我々は控訴する」と述べた。
ミルナさんの夫、アリフ・スマルコさんは判決公判後、「毒を入れて殺したと100%信じていた」。禁錮20年の判決には「ミルナはもう二度と戻って来ず、心の中は空っぽ。罰せられる長さは関係ない。納得はできないが、裁判官の判決には感謝する」と語った。(毛利春香、写真も)