処理能力超えた降水量 バンドン市大洪水の原因 開発に伴う森林減少も
西ジャワ州バンドン市のパストゥール通りで24日に発生した大洪水で、同市は26日、豪雨に伴う大量の雨水が排水システムの処理量を超え、道路にあふれたことが原因と説明した。一方、専門家は宅地開発などにより、標高の高い同市北部の森林が減少したことで、山間部に雨水が蓄えられず、市内に直接流れ込んだことも洪水被害を拡大させたと指摘している。
24日の大洪水では、市民1人が死亡、車などが押し流された。同市によると、パストゥール通りでは排水システムの検査を2週間に1回程度の割合で実施していたが、今回は処理量を大幅に超える降雨があり、道路周辺に一気にあふれ出したとみられる。
リドワン・カミル市長は26日、「責任を感じている。市内の排水システムを見直す」と謝罪。今後、市内19道路を対象に、排水路の拡張工事を進めるという。さらに、排水路や川の流量を減少させる要因になっているとして、川沿いなどを違法に占拠する住宅や商業施設の取り壊しに着手す考えも示した。
一方、環境団体のインドネシア環境フォーラム(ワルヒ)の西ジャワ州支部は、バンドン市北部の都市開発が洪水の原因と指摘する。
同市は周囲を山に囲まれ、特に標高が高く涼しい北部は避暑地として人気の観光地で、同市も近年、宅地や商業地の開発に力を入れている。
ワルヒのダダン・ラムダン支部長によると、比較的標高の低い同市南部や東側では、最近約10年間で洪水被害が次第に拡大。「開発により、雨水を一時的に蓄える森林や草地は年々減少し、雨水はバンドン市内に直接流れ込んでいる」と警鐘を鳴らした。(毛利春香)