密輸対策で合同訓練 日イ印 海保巡視船「えちご」参加
密輸などの海上犯罪への対処で連携を強めようと、日本、インドネシア、インドの3カ国による合同訓練が13日、北ジャカルタのタンジュンプリオク港沖で実施された。日本の海上保安庁の巡視船「えちご」(新潟海上保安部所属、乗組員40人)が参加した。
訓練は、アジア20カ国・地域の海上保安機関トップらによる長官級会合がジャカルタで開かれるのに合わせて実施された。
長官級会合は2004年以降、日本が主導して海賊対策や捜索救助などを議論してきた。会合に合わせて行われる合同訓練に、3カ国が参加するのは今回が初めて。
海保によると、インドネシア周辺で密輸入が増えている。複雑化する海上犯罪に対し、各国の海上保安機関同士の連携を強化する狙いがある。
訓練は日本の海保、インドネシアの海上保安庁(BAKAMLA)や海上警察、インドの沿岸警備隊など計7隻が参加し、タンジュンプリオク沖約22キロで行われた。
■「放射性物質を密輸」
「疑わしい船」が見つかった——。えちごの船内にスピーカーマイクの声が響いた。訓練は、インドネシアに放射性物質を密輸しようとしていると思われる船が公海上に現れるところから始まる。これを受けてインドネシア政府が、ジャカルタへ親善訪問のため近くを航海中のえちごとインドの巡視船に対し、協力を要請するとの設定。
要請に基づき、えちごは密輸船に対し、汽笛を鳴らし、旗を掲げて停船を求める信号を送る。その停船命令を無視した船に、インドネシアのBAKAMLAと海上警察が乗り込んで船内を捜索、放射線物質を見つけて船員を確保した。
その後、被爆の可能性がある船員らは、除染のため、ゴムボートに乗ってえちごへ。マスクや防護衣を身につけた参加者がえちごの船上で除染作業にあたった。
訓練後、えちご船長の宮地拓也・二等海上保安監は「各機関と意見交換をして、インドネシアもインドも、法の下で海の秩序と安全を守るという意識が非常に高いと感じた」と振り返った。「各国の海上保安機関と、しっかり汗をかきながら、連携を強めていきたい」と話した。(木村綾、写真も)