雨が続いた乾期 インド洋水温上昇が影響 ダイポール現象来月収束へ

 ことしは乾期がなかった——。気象庁(BMKG)が首都圏で乾期入りを発表した4月以降、首都圏をはじめ各地で洪水や地滑りなど豪雨による被害が相次いだ。日本の海洋研究開発機構(JAMSTEC)は、インド洋の海面水温上昇がインドネシアに悪天候をもたらしたと指摘している。
 JAMSTECによると、インド洋の海面水温は数年周期で上昇する地域が変化し、インド洋ダイポール(IOD)現象と呼ばれる。アフリカ側で上昇すると正のIOD、インドネシア側だと負のIODと言われ、ことし6月には負のIODが発生した。
 インド東部の海面水温が過去30年の平均に比べ、1・0度高かった。水温が高い地点では海面から大気中に水蒸気が多量に送られ、積乱雲が盛んに発生するため、スマトラ島など西部を中心にインドネシアほぼ全域に雨を降らせた。
 JAMSTECアプリケーションラボ気候変動予測応用グループ研究員の土井威志さんは「IODが6月に発生し、8月まで現象が顕著に見られた。インドネシアは強く影響を受けた。11月に収束する見込みで、年末から年始にかけての影響は少ない」と話した。
 BMKGによると、南ジャカルタ区クマンの大洪水があった8月に雨が降った日は、昨年より13日多い25日。首都圏の1日当たりの最大降水量は、昨年は8月8日の西ジャワ州ボゴール県ムカルサリでの38ミリ。ことしは同県チタヤムで8月20日に観測された98・7ミリが最大だった。クマンの27日夜の降雨量は82ミリだった。
 ■ラニーニャの影響
 BMKGは昨年11月に首都圏の雨期入りを発表し、ことし4月に乾期入りを宣言。この後も断続的に雨が続いたが、BMKG広報担当はこの期間を「乾期から雨期への移行期間」と説明。IODに加え、太平洋西部・インドネシア側の海面水温が高くなるラニーニャ現象が雨期入りを早めているという。
 9月22日に発表された全国の雨期入り時期データによると、IODの影響が大きいスマトラ島南部とバンテン州の一部、西ジャワ州全域で平年より30日以上早まった。ジャカルタ特別州の中部〜北部は11月初旬から12月初旬に雨期入りし、南部は9月初旬にすでに入った。
 全国342地域に設置された乾期と雨期の変化を測る季節観測所のうち、67・5%に当たる231地域で平年より雨期入りが10〜30日早まる見通し。7月末に発達し始めたラニーニャ現象は、2017年初頭まで影響が続くが、174地域(50・88%)が平年通りの雨期を迎え、164地域(47・95%)が平年より50%ほど雨が多く、残りは雨が少ないと予測している。
 インド洋ダイポール(IOD)赤道付近のインド洋で見られる大気と海洋の結合現象。数年周期で発生する。水温が東西のどちらかに偏ることで活発な対流活動地点が移動し、上空の風向きも変化する。水温が高いところで豪雨を、低いところでは干ばつや山火事を引き起こす。正のIODはアフリカ側が高温、負のIODはインドネシア側が高温となる。1999年に海洋生物学者の山形俊男東大教授=JAMSTECアプリケーションラボ所長=らが発見した。(中島昭浩)

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