【アルンアルン】統計資料あれこれ
インドネシアについて数量的に把握する手がかりとして、皆さんは統計を使ったことはあるだろうか。ご自身で利用されたことはない方でも、新聞や雑誌などの記事で統計データを目にすることはあるだろう。
インドネシア国内の統計事業を管轄する公的機関としてインドネシア中央統計庁(Badan Pusat Statistik=BPS)がある。BPSは州、さらには県・市単位まで各支部を持ち、統計に関する全ての事業を統括している。近年、インドネシアでは情報のデジタル化が急速に進み、統計資料においてもほぼ全ての出版物がウェブ上で無料ダウンロードできるようになった。最も基本的な統計資料として「Statistik Indonesia」がある。日本で総務省統計局が発行する「日本統計年鑑」と同様に、気候から人口、経済、社会、文化などの広範な分野の基礎的データが収録されている一方、年間のメッカ巡礼者数など、インドネシアならではのデータも含まれている。
また、各地方版の総合統計年鑑もあり、「州・県・市名+Dalam Angka」というタイトルで発行される。これらは地方によって収録されている統計の内容がさまざまである。具体例を紹介する前に、表紙のデザインについてまずは触れておきたい。各々の表紙はまさに各地の「顔」であり、その土地を特色づける文化や風景など、競い合うように凝ったデザインになっている。例えば、コモドドラゴンで有名なコモド島のある東ヌサトゥンガラ州の総合統計年鑑には、1面にコモドドラゴンが大きく写っている。他には各地の風光明媚(めいび)な景色や人びとの暮らしの様子がわかる写真などが多い。
さて、中身をみてみよう。例えばアチェ州では、イスラム関連のデータが豊富だ。年間の巡礼者数はもちろんのこと、イスラム寄宿学校プサントレンの校数や教員・生徒数、そして喜捨などのイスラムの教えに基づいた寄付の金額を入手することができる。また、北スマトラ州や中部スラウェシ州では住宅の床・外壁・屋根の材料、トイレの種類、飲み水の供給源別世帯割合など、生活水準に関わる細かなデータが掲載されている。最後に、比較的多くの地域で目にするのが家族計画に関する統計である。家族計画への参与者数、関連施設の数、方法別の避妊実践者数などを見ることができる。
繰り返しになるが、これら統計資料は中央及び各地方統計庁ホームページで入手可能である。ぜひ一度アクセスしてみてはいかがだろうか。(アジア経済研究所図書館研究情報整備課・土佐美菜実)