ナトゥナで軍事演習 国軍創立記念行事 最大規模 大統領視察
ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は6日、国軍の創立記念行事でリアウ諸島州ナトゥナ諸島を視察した。同海域で大規模な軍事演習を行い、自国の領有権を主張する狙い。
5日に行われたことしの国軍創立記念日の式典は例年と異なり、最高司令官である大統領が欠席。プラモノ・アヌン内閣官房長官は「大統領はガトット・ヌルマンティヨ国軍司令官と話し合い、ナトゥナで記念行事を催すことにした」と話した。
大統領府によると、6日午前7時に東ジャカルタ・ハリムの空軍基地を出てナトゥナのラナイ空港に到着。ヘルメットを被り戦闘機スホイ30に試乗した。その後スホイ27、30やF16戦闘機などによる哨戒の訓練を見学した。
また計約100人の空挺部隊が輸送機ハーキュリーズから降下する訓練なども行われた。同行したレトノ・マルスディ外相は記者団に「国軍の創立記念日の軍事演習自体は例年と変わらないが、規模は最大規模」と説明した。
中国が違法漁業をする同海域での中国との摩擦については、「中国と国境をめぐる海域で問題となっている場所はない。国境問題で交渉をしているのは、マレーシアとベトナムだけだ」と説明。国軍幹部もナトゥナでの軍事演習は南シナ海で中国に圧力をかけるものではないと配慮した。
大統領は午後、ナトゥナ県の予算を使い、空軍が支援したラナイ空港の開業式に出席、「人、モノの輸送を含めもっと安くなることを期待したい」とあいさつした。さらに大統領はナトゥナの海洋水産発展のための漁業市場の建設に触れ、「年内に100ヘクタール以上の土地に建設する」と意気込みを示した。
ナトゥナは、開発を検討中のアジア最大規模のガス田や豊富な水産資源に恵まれている。漁獲量増加に向けては、ジャワ島からの漁民派遣や住環境の整備、冷凍設備の設置などを計画する。大統領は6月にもナトゥナを訪れ、軍艦上で閣議を開いている。(佐藤拓也)