【南タンゲラン市学校現場から】(上) 全国初の新教科「環境」 来年、300校で導入へ ごみ問題、もっと身近に

 バンテン州南タンゲラン市の小学校で新たに「環境」の授業が2017年から導入される。富山県の一般社団法人が教科書づくりなどを支援。全国に先駆けて、子どもたちの環境意識向上を目指す市の学校現場を追った。

 来年の導入を前に9月19日、モデル校30校の一つ、私立ヒカリ小学校(スコラ・ヒカリ)では、第1回目となる「環境」の授業が4年生36人を対象に行われた。
 この日のテーマは「ごみはどこから来るか」。児童は4〜6人の班ごとに家、会社、市場、駅、空港など異なる場所でどんなごみが出るかを考え発表した。
 「場所によって出るごみが違いますね」「それは燃えるごみ? 燃えないごみ?」。児童に語りかけるのは、エカ・フリスティアニ校長(25)。学校のごみ箱を観察させるなどして、ごみを正しく捨てることについて話した。
 授業が始まるのに合わせ、教科書も一から作られた。豊富なイラストや写真と共に「ごみを出す人について考えよう」「家のごみ箱を観察してみよう」などと書かれ、実際に身の回りの環境に目を向けるような工夫がされている。
 エカ校長は「授業を通じて、環境問題を身近に感じてほしい」と期待する。
◇    ◇
 南タンゲラン市は08年にタンゲラン県から分離して生まれた比較的新しい市で、初の市長選で選ばれたアイリン・ラフミ・ディアニ市長が2期目を務めている。ごみ問題などの意識向上を目指したい市は、17年7月から市内の小学校全約300校で4年生を対象に「環境」の授業を導入することに決めた。
 教科書やカリキュラムづくりを支援しているのは、富山県のインドネシア教育振興会(IEPF)。00年の会設立以来、インドネシアで教育支援を行い、11年にヒカリ小学校を開校、運営している。
 活動を通じて市と協力関係を作り、14年からは国際協力機構(JICA)の草の根技術協力事業として、環境教育の導入を進めてきた。
 プロジェクトを統括する愛知教育大学の野平慎二教授は「インドネシアでも日本でも、教科の縦割りが多いが、環境はあらゆる教科や領域に関わるもの。環境教育の導入は、インドネシアの教育現場で、子どもの育て方が変わっていく糸口になるのでは」と話す。
 野平教授によれば、ごみや水などの環境問題は、「社会」「家庭科」「道徳」など複数の教科にまたがるテーマ。日本で02年に導入された「総合的な学習」と同様で、従来の教科の知識を盛り込んだカリキュラムを組んだ。「子どもたちの主体的な学びや育ちにつながるのでは」と期待を寄せている。(つづく)(木村綾、写真も)

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