借金増でインフラ財源確保 スリ財務相 予算スリム化進める

 政府は残り4カ月を切った2016年の国家予算の修正を続けている。政府はこのほど行われた閣僚会議による2016年国家予算審議で、国内総生産(GDP)に対する財政赤字の比率を0.2%増やし2.7%に設定することを決めた。これ以上予算を削減せず国の借金を増やすことでインフラ財源を確保する。財務省は7月末に就任したスリ・ムルヤニ財務相を中心に予算のスリム化を図っている。

 スリ財務相は16日に行われた閣僚会議後の記者会見で「石油開発にかかる経費が増加する可能性が高い。あらゆるリスクを考慮しなければならない」と財政赤字の拡大の背景を説明した。
 政府は当初の予算案で財政赤字の対GDP比を2.35%にした後、8月に2.5%に拡大、今回の閣僚会議でさらに借金増を決めた。スリ財務相は「政府の優先事業への財源を維持するため財政赤字を増やす」と説明、投資の安全性の目安とされるGDP比3%以内に収めることを強調した。
 借金増と同時にスリ財務相は「想定より税収が不足する。近年インドネシア政府は、歳出に対して税収が不足している予算案を組んでいる」と現実路線の徹底を強調、予算の削減を断行している。
 ことしに入り2回目となる大規模な予算削減について、スリ財務相は中央省庁向け予算64兆7千億ルピアの削減を決めた。地方重視の象徴として政府が増額を続けてきた地方交付金も切り詰めた。
 中央省庁予算の削減幅で最も大きかったのは、毎年年間100兆ルピア前後の予算が配分され、中央省庁の中で最も配分の大きい公共事業省、国防省だった。
 予算規模に比べ農業省や保健省、運輸省、財務省、海洋水産省、エネルギー鉱物資源省などの削減が目立った。残り4カ月分の予算のうち、6割超の予算削減が決まった運輸省のブディ・カルヤ・スマディ運輸相は「事業の再考が必要」と語り、補助金の活用を検討すると話した。
 予算配分をめぐっては、スリ財務相が就任する前の5月以降に国会で議論され、レバラン(断食月明け大祭)前の6月末に削減方針で修正予算を可決した。
 公共事業省に関しては、1回目の予算削減となった6月末時点で8兆4千億ルピア削減された。スリ財務相就任後行われた2回目の予算削減で、同省予算はさらに6兆9千億ルピア削られ、公共事業省の担当者は「ダム建設などに多少影響する」と語った。(佐藤拓也)

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