結核感染予防に有効 リスク75%減少とシャープ プラズマクラスター技術
 シャープ・エレクトロニクス・インドネシア(SEID)は西ジャワ州のカラワン工業団地(KIIC)のカラワン工場で8日、記者会見を開き、空気清浄機などに使用されている「プラズマクラスター技術」が結核の感染リスク低減に有効であることを、世界で初めて実証したと発表した。
 成果はジョージア(グルジア)国立結核病院との共同臨床研究で確認された。
 プラズマクラスターは、イオンを放出して空気を浄化し臭いを抑える技術。実験では、臨床研究専用のイオン発生装置を140台設置した研究専用フロアと、通常のフロアを比較して行われた。研究専用フロアのイオン濃度は、1立方センチ当たり平均10万個に設定された。
 結果、研究専用フロアでは結核菌の働きが弱まり、医者ら医療従事者の結核感染のリスクが、通常フロアと比べて約75%減少した。患者の結核菌が薬剤への耐性を獲得し、効果がなくなる危険性は約78%抑制されたという。
 記者会見は、シャープ東京支社で行われた会見を同時中継して行われた。同時中継の理由は、インドネシアにおけるシャープ製品の普及度と、結核患者が多い点を考慮したためという。
 シャープの冨田昌志第2商品企画部長は「今後、医療機器として認められるかなどの課題はあるが、結核以外でもアレルギーの作用を抑えるなどの実験、検証を進めており、活用が期待できる」と話した。
 SEIDの入江史浩社長は地元メディアに対し「メーカー単体ではできないことも多い。さまざまな研究、実験を研究機関と共に進めていきたい」と話した。
 SEIDはインドネシア国内で年間6万〜7万台の空気清浄機を販売しており、昨年蚊取り機能付きの空気清浄機を投入するなど販売増を図っている。 
 世界保健機関(WHO)によると、インドネシア国内の結核の年間総発症件数は、2014年時点で約32万人で世界第3位。世界に22ある結核高負担国の一つ(日本の外務省調べ)とされ、インドネシア政府は35年までに結核を完全に撲滅することを目標としている。国際協力機構(JICA)も製薬会社と協力して結核対策に当たっている。(平野慧、写真も)


 

 
 
 
 

 






















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