毎年700人の操縦士不足 航空学校卒業者 6割、小型機を敬遠

 運輸省人材開発局のワフユ・ウトモ局長は8日、インドネシア国内で毎年約700人のパイロット不足が生じていると明らかにした。航空学校卒業者のうち、パイロットとして働くのは4割にとどまっているため。残り6割は、大型旅客機を操縦するために必要な、小型機の操縦実績を積まず、パイロットになる道を断念するという。

 ワフユ局長によると、国内航空会社が購入する航空機は年間約70機。大型機の運航には1機当たり5人以上のパイロットが必要で、退職や海外の航空会社に転職するケースを考慮すると、国内の操縦士不足数は毎年700人に上ると説明した。不足分は、キャリアアップのため、賃金よりも経験を優先する外国人が補っている。
 不足の最も大きな原因は、航空学校卒業後の就職率の低さ。卒業生の多くが希望する民間航空会社のパイロットになるためには、航空学校で得たライセンスだけでなく、機長資格の取得が義務付けられている。
 資格取得には、最低でも小型機などで1500時間以上の操縦経験が必要だが、若手のパイロットはプロペラ機など小型飛行機の操縦を避ける傾向にあるという。
 島国のインドネシアでは小型飛行機の利用者が増加しているが、小型機が頻繁に利用される地方部では、パプア州の山岳地帯など危険を伴う状況での運航が多い。小型機の場合、パイロットの給与も安く、5億ルピアにもなる学費を払って航空学校を卒業したにもかかわらず、キャリアを積もうとしないという。
 バンテン州タンゲラン県ルゴックのチュルグにあるインドネシア国立航空高等専門学校(STPI)では8日、2116人が卒業を迎えた。

 卒業式でブディ・カルヤ・スマディ運輸相は「卒業したばかりの若手は、最初から大型旅客機を操縦すべきではない。まずは小型機操縦の経験を積み、将来は域内や世界各国で活躍してほしい」とあいさつ。早急にパイロットを増やすため、小型機を運航してキャリアを積むプログラムを卒業生らに課す計画を明らかにした。(毛利春香)

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